顔見知りに助けられた。有難いことだ。

 今夜は、シンポジウムがあったので、遅くに自転車に事務所に戻ることになった。しかし駐車場の電子キーが故障したのか、シャッターが開かない。事務所に入るには、駐車場経由か裏玄関経由なのだが、玄関を開ける鍵は、駐車場に置いてある車の中だ。ビルの管理人を電話で呼んだが、すでに帰宅されていて開錠は週明けになるという。まずい。

 見上げると、よその事務所だが明かりが点いている。ダメ元で、裏玄関の脇からインターフォンを押してみる。すると残業のスタッフが応対してくれて、裏玄関のドアを開けてもらえた。先方もこちらの顔を覚えていてくれて、同じテナント同士ということで助けていただいた。

 でも車を出すには、シャッターを開閉する電子キーが必要だ。さらにダメ元で、居住階を訪ねてインターフォンを押す。夜遅くで気が引ける。でも返事があって、ドアを開けてもらえた。エレベーターでときどき一緒になる方だった。事情を話すと、「ちょっと待っていてください」と気さくな感じで駐車場フロアまで下りて、シャッターを開けていただいた。顔見知りなので怪しまれず、こんなに親切にしていただいた。

 つくづく小規模なオフィス兼住居のコンプレックスで良かったと思う。ふだん付き合いがあるわけではないが、お互いに顔見知りになれる規模、困り事があれば助け合う規模、そして誰かが居るということ。最近、コミュニティについて考えることがあるが、こんな風に、何気なく顔見知りになる規模と場所が大事なのだととても実感できた夜だった。

 改めてお礼に伺うことにしよう。