制度システムの不具合は、外的攪乱や短絡、隘流などいろいろあって、網羅的に分類するのは厄介そうだ。

 そこでダイナミカルシステムのことを調べると、

と簡潔に記述している。時間tにおけるシステムの状態はx(t)、u(t)が外部変数、つまり入力で出力はy(t)となる。この状態方程式では、システムの状態は、記憶を持つことになる。このように整理すれば、制度の不具合の場所は、入力に関わるもの、状態に関わるもの、出力に関わるもの、として分類できる。この大分類に従って、システムの不具合とそれに対応する評価軸をさらに分類すると

  • 入力部分
    • 過大入力に対する耐性
    • 入力ノイズに対する耐ノイズ性
    • 外的攪乱に対する頑健性
  • 状態
    • カオス的挙動を抑える初期条件
    • 発散や周回、滞留を避けた経路安定性
    • 過負荷による破綻を防ぐ平滑性(隘路、短絡、漏出等を解消)
  • 出力部分
    • 効率や公正を損なうことなく期待した成果を得る機能性
    • 不正や歪曲、ただ乗りによる利益が生じない耐戦略性
    • 出力過剰による消耗を避ける持続可能性

といったように、バランスよく網羅的に捉えられるようだ。

暫定的にデザインされた制度をレビューするときに、これらの評価軸に従っていろいろなケースを工夫してシミュレーションすることで、制度デザインの改善点も見えてくるだろう。

 最後に、このダイナミカルシステムの考え方では、制度は動的で記憶を備えたものとなることは特に留意しておきたい。