マッチング、ラーニング、シェアリングを組み込んだゲームデザインの構造は、種の進化が遺伝的アルゴリズムよりも早く最適化に至ることを示していると思う。

 遺伝的アルゴリズムは、巡回セールスマン問題などの計算困難な問題を解くのに利用されている。それは、プログラムのいくつかのコードと適応度の評価法を用意して、プログラムの交差と突然変異とを操作することで、最適化に近づける方法である。長大なコードは変異を受けやすいので、短いコードとその組み合わせになっていくという意義深い結果も得られている。

 でもゲームデザインはこの遺伝的アルゴリズムより最適化は早いだろう。まず交差するにしても、乱択ではなくてマッチングを経ることで、より適応度の高いプログラム同士が交差することになる。適応についても、プログラムにラーニングの機能が加わることで、プログラム自体を軽くしながら、複雑多様な環境への対応も可能にしている。そしてシェアリングでは、さまざまなプログラムに共有の基幹部分があって、ある程度の適応を可能にする。それでプログラムの変異が致命的にならず、多様性を保つことができる。

 これらのことは、そのまま種の進化のメカニズムに相当する。マッチングは生殖の際の配偶者選択、ラーニングはまさに学習機能、シェアリングは系統発生でみられるように基幹部分は先祖のものになっている。遺伝子と個体とそれぞれのクラスがあることで、こうしたゲームデザインの構造が成立していることになる。

 種の進化も、ゲームのデザインだったのか。