ニュータウンでは一遍に高齢化が進み、廃墟になっている事実が伝えられる。なぜ街として持続的に発展しなかったのだろうか? 湾岸のタワーマンション群も同様の末路を辿るのだろうか?

 都市が廃れるのは、都市集積の閾値を超えず、マッチング、ラーニング、シェアリングといった魅力を備えなかった場合である。ニュータウンについてその経路を考えてみる。

 まず都心から離れたベッドタウンとしての位置づけが決定的である。ベッドタウンなので、週日の昼間人口は少ない。その分、飲食業や商業などはなかなか採算点を超えず、徒歩圏に商店街がなかなか発展しなかった。その代わりに車で行き来する距離にショッピングモールが形成され、さらに身近な商店街が廃れる。そして仕事場は都心なので、ニュータウンで自分に合う仕事を見つけたり、スキルを高める場もあまりない。

 そして第二世代が成人となる。人口も横ばいなので、都心寄りに住まいが持てる。買い物は車、仕事は都心なので、ニュータウンにそのまま居続ける理由が乏しい。そのため第二世代は、都心近くに転出していく。

 一方、第一世代は退職、そして高齢化する。免許を返納して買い物も不便だし、総合病院も遠い。ということで都心寄りに移転する人も現れる。ニュータウンに留まって良好なコミュニティを形成してきた層も、高齢化の先で次第に減ってくる。戸建ては空家が目立つ。集合住宅を維持する管理費も十分に徴収できなくなって、廃墟になっていく。

 このように職住分離のベッドタウンという位置づけが、都市集積に逆行する主因になっている。タワーマンションについても、ニュータウンと場所も建築も職住分離であり、管理費未納の恐れなど共通点も多い。廃れるリスクは否めない。職住近接で昼夜間人口に差のない都市構造が、やはり都市集積を持続させる条件になるだろう。