先日ニシキヘビが飼育ケージから脱走して見つからない、という騒ぎがあった。
一体どこにいるのか、何かが犠牲になっていないか、周辺の方のお気持ちは
よくわかる。
こちとら田舎育ちだ、蛇の丸のみする破壊力はよく知っている。
そう、都会の方にはピンとこないかもしれないが、蛇のあごは簡単にはずれて
口径の何倍もの大きさを飲み込むことが出来るのである。
私がそれを知ったのは、まだうら若き小学5年生くらいの頃だった。
裏庭で盆栽の剪定をしていた父が、家の中にいる私を大声で呼ぶのである。
「〇〇ー、面白いものがあるで!はよ、来い!!」
もう思春期入りかけの微妙なお年頃、面白いものと言われて飛んでいく
ほどではないのだが、何度も父が名前を連呼するので近所の手前恥ずかしい。
慌てて表玄関から飛び出し、建物の横を通って裏に行こうと角を曲がった瞬間
「うぎゃあああああ!!!!」
と叫んでしまった。
そう、道の真ん中でフタコブラクダのように胴体を二か所膨らませた蛇が
横たわっているではないか!
しかも私が大声で叫んだので、あちらもびっくりしたのであろう、
げ、ぐええーってと意思に反してもどしてしまったのである。
まだ1メートルくらいの青大将だが、喉元からわりと大きめの鳩の子が
吐き出された。
背中まで飲み込んだもう一羽のひなは、ゆっくり喉元へ移動しつつあったが
そうはさせるか、と蛇も頑張ったのだろう、なんとか体制を立て直し
ぐっと飲み込んだまま、恨みがましい視線を私に残しつつ去っていった。
唖然茫然と立ち尽くす私に、裏手からやってきた父は
「な、ええもん見れたやろ?」とニヤリ。
おいおい、お父ちゃん、思春期でっせ。
ここから反抗期が加速したのは言うまでもない。
しかし冷静に考えれば、本当に貴重なものを見せてもらったわけで、
後々蛇の口ってどうなってるねん、と興味がわいたのも事実。
たまにフランスの冒険小説なんかを読んでいると、アフリカで牛が丸のみされた
話だとかも出てくるから、世界共通、男性にとってはある種の引力を持つ
話題なのかもしれない。
M社員