人間工学から考える空間の取り方
お施主様(建て主様)との次回打合せの議題にインテリアのデザインについてという項目がありますので、今日はそこのところを、少しお話しします。
姿勢には立位(りつい)、椅座位(いざい)、平座位(へいざい)、臥位(がい)の4つに分けられます。それぞれに正しい姿勢をとることで、身体的負担を軽減できます。そのためには物の大きさや位置などが重要であり、インテリアデザインと密接な関係があります。
人が何らかの作業を行う場合、平面的にも立体的にも四肢が届く範囲が存在しますが、その範囲を「作業域」と呼びます。
■水平作業
これは使い勝手や身体的負担だけでなく、安全性にも関係するので注意をしたいところです。生活のなかでの動作の多くは機械や機器の使用を伴うため、身体だけの空間でなく、家具や機器の大きさも含めた作業域を求める必要があります。また、1つの行動が単独で行われることは少なく、たとえばトイレで主目的のほかに、手を洗う、ドアを開けるといった作業も組み合わせて考えなければなりません。
■動作空間の考え方
椅子の座り心地を決める基準は、座面の高さ、角度、奥行き、背もたれの角度などで、作業用か休息用かという目的により異なってきます。
■椅子の分類
座面が高すぎるとふくらはぎ上部を圧迫してしまうので注意が必要です。また、机と椅子の関係で最も重要な差尺(さしゃく)というテーブルトップと椅子の座面高との差があります。作業の種類にもよりますが270~300㎜を基準に考えるとよいといわれてますが、本来であれば身体寸法の座高から算出されるのが理想的です。ですが、机・椅子をオーダーするのも現実的でないため、既製品の脚を切って身体に合わせることもあります。
■椅子・机の機能寸法
キッチンなどの作業台では、JIS規格により調理台の高さは850㎜と800㎜に決められていますが、実際の現場では900㎜以上にすることも少なくありません。一般的な目安といわれる「身長÷2+50㎜」の計算式から算出する設計者もいますが、人それぞれ手足の長さが違い、複数の人が作業することや、ビルトイン機器の寸法などを考え、慎重に算出したいものです。
洗面台はJIS規格では、720㎜と680㎜となっていますが、実際は800~850㎜にすることが多くなります。
収納は収納物の重さや大きさ、しまうときの姿勢などを考慮して高さや奥行きを決めていきます。特に床に近い高さではかがむ姿勢になるため前面スペースが必要になります。