立て主様との打合せの中で、現在の住まいと結露対策についてのお話しが出てまいりました。やはり、住まいの改善したい問題
の上位に入る問題のひとつでした。そこで、結露のメカニズムについて、おさらいをしました。
結露というのは、文字どおり「露を結ぶ」というこです。空気中の水蒸気がたくさん集まって水滴まで大きくなったものです。
水蒸気はガス(気体)状ですが、冷やされて結露すると液体になります。この液体はまた暖められると水蒸気になって、
またどんどん冷やされると今度は氷になってしまいます。
こうして水というものは気体・液体・個体に変化しますが、変化させているのが熱エネルギーです。

家に中で発生する水の動きは、熱せられて蒸発し冷やされて結露して液体になり、対象物をビショビショにして、それが乾く間
にカビが繁殖し、そのカビを目当てにダニが寄ってきたり、木材腐朽菌が繁殖して木材をボソボソにしてしまいます。また、そ
こにシロアリがやってくれば勢いよく食害されてしまいます。
空気がもてる水の量
空気のなかには水蒸気が含まれています。その量はわずかで、1m×1m×1m(1㎥)の空気の中に2~25g程度含まれてい
るにすぎないそうです。
空気に含まれる水蒸気の量は温度によってちがってきます。温度が高くなるほど水蒸気をたくさん含める(もてる)ようになり
ます。たとえば20℃の空気は17.3gの水蒸気をもつことができますが、10℃の空気は9.4gしかもつことができません。
今、20℃の空気があるとして、水蒸気はもてる量の半分(8.65g)だとします。この状態を「相対湿度50%」と呼びます。
私たちがいつも「湿度△△%」と呼んでいるのはこの相対湿度のことです。これに対して。空気中に実際に入っている水蒸
気の「量」を絶対湿度といいます。単位はg/㎥。つまり1㎥の中にどれだけの重さの水蒸気が入っているかを示しています。
この空気は単純に温度20℃、湿度50%と表現されますが、さらに簡略化して20℃・50%とも呼ばれます。それでも
一般的に通じるほど、私たちは温度と湿度のことはよく知っています。でも結露となると急に自信がなくなってしまいます。

今、20℃・50%の空気が何かの理由で急に冷やされたとします。すると空気がもてる水蒸気の量は小さくなり、ついに
水蒸気がいっぱいになった状態を飽和状態と呼びます。相対湿度はもちろん100%です。また、空気が冷やされて飽和
状態になったときの温度を露点温度と呼びます。
20℃・50%の空気は8.7℃まで冷やされると飽和状態になります。つまり露点温度は8.7どです。
この空気がさらに冷やされると水蒸気をもちきれなくなって外に出てしまいます。これが結露の始まりです。
もし、この空気が5℃にまで冷やされたとすれば、5℃がもてる水蒸気は6.8g/㎥ですから、1.85g/㎥(8.65g/㎥-
6.8g/㎥)が結露になってしまうという計算になります。
空気線図
さて、空気と水蒸気の関係はしたに挙げた「空気線図」をみればよくわかります。この空気線図から、空気の温度の変化に
よって含みえる水蒸気(絶対湿度)、露点温度、さらには空気がもっている熱量まで読むことができます。
横軸には温度が、縦軸には絶対湿度が示されています。たくさんの右上がりの放物線が見えますが、こらが相対湿度を
示す線です。一番左側(左上)側の線が相対湿度100%、つまり飽和状態になります。
次回、日本の家は結露発生器状態?という考察をします。 ・・・・・・・・・・・次回につづく