『源氏物語』が、来年、映画化されるそうですね。
主演、つまり光源氏は生田斗真。徳井氏と似ているという説を聞いて以来、わりと好意的に見ている俳優さんなので楽しみではありますが、他のキャストはどうなるのかなあ、という大きな心配が……。それに、超大作エンターテインメントというキャッチコピーにもかなり不安を覚えます(苦笑)。安部清明も出るとかって……何でっっ!?!
源氏物語のキャストは、NHK大河ドラマ並みに気合いを入れてくれないと、小学生の頃からの源氏好きとしては納得できませぬ。
昔、東山紀之主演でドラマ化されたときも、天海祐希主演の映画も、いろいろ納得いかないことばかりでした。で、自分で勝手に配役を考えたりしたっけね(笑)。
大河ドラマは実在の人物しか取り上げないとか、フィクションとは云え天皇家の不倫なんか書いてるから国営放送では難しいとか、いろんな事情があるのでしょうが、いつの日か大河ドラマで豪華絢爛な源氏物語を観られるといいのに……というのが幼少の頃からの切なる願いです。


さて、気まぐれに訪れる歴史ブームと同じく、このニュースを知ったことで第?次源氏物語ブームが起こり、そろそろ原文で読破しようなどと殊勝なことまで考えております。…ってまたそんな時間のかかる目論見! しかも、ブームが再来したことで、新たに関連書籍を読んだり、ネットを巡回したりとただでさえ忙しいのに!(苦笑)


多くの女子たちがきっとそうであるように、わたしもご多聞にもれず『あさきゆめみし』を入口に、源氏物語の世界を知りました。
それより前に、子ども用の文学全集みたいな本(有名な章のみのダイジェスト版)で読んだ際は、「何じゃこの退屈な話!」と思ったものでしたが……マンガで読むと、なんという面白さ!!!
最も、小学生の頃は、エロ本代わりに読んでいた部分も大いにありましたが(少女漫画なので描写は大したことないんだけどね)、それを差し引いても、華麗で、ドラマチックで、夢のような物語に、他のどんな少女マンガも色あせるほど、傾倒したのでした。
当時は7巻が最新刊だったかな(「藤裏葉」~「若菜 上」のあたり)。ほどなくして、友人が既刊を全巻揃えてくれ、その後も新刊が出るたびに借りて読んでいました。そして、高校生くらいになって再び全巻を借りたが最後、やっぱり面白すぎて10年くらい借りっぱなしになってしまいました。。。
さすがに大人になったので、今は自分用に美装ケース入りの文庫コミックを買って、手元に置いております。
現代語訳は、読みやすい田辺訳と、瀬戸内訳&橋本治の「窯変 源氏物語」の一部しか読んでおらず、原作に関してはあまり真面目に取り組んでいませんが(せめて原文の前に谷崎訳くらいは読むべきか…)、源氏関連本(解説本など)はけっこういろいろと読みました。一部マニアに有名な「源氏物語占い」も本まで買って、そのとき好きになった相手をいちいち占っていたわ…。ちなみにわたしの結果は、“明石の君”でした(合ってるようなそうでもないような)。


何度味わっても源氏物語は底知れぬ面白さで(まあわたしの場合、ほとんど『あさきゆめみし』ですけども…)、現存する中で最高の恋愛小説のひとつだよなあ、という確信を深めるばかりです。
しかも、読むたびに強く思い入れる人物や場面が変わるという、「一粒で何回美味しいねん!?」な減価償却の低さ(?)も素晴らしい。
例えば昔は、紫の上みたいな“非の打ちどころのない優等生”キャラにはつゆほども興味が湧かなかったのですが、三十路も数年過ぎると、紫の上に「女の一生」(あるいは女が逃れられない業)というものをまざまざと見るような気がして、胸が痛くなったりして…。
もう数年前は、柏木の登場から死までがいちばん好きだったし、宇治十帖に通底する静かな情熱に心惹かれる時期もあったし、ずっと遡って子どもの頃は朝顔とか夕霧みたいな真面目な地味キャラがお気に入りだったっけ……。
そのうち、朧月夜とか六条御息所に感情移入できる日も来るのでありましょうか。 女の極右みたいなこの2人のキャラには、物語的には面白いけれど、どっぷり共感できないのだ~……。こんなふうに“恋に生きる”キャラは、自分とはかけ離れすぎているよのなあ。


本当に面白く、かつ飽きない物語というのは、下世話さと高貴さが自然に同居しているものだと思います。
源氏物語はまさにそのお手本のよう。恋愛指南書のように軽くも読めれば、人の生死の深淵を描いた宗教書のようでもあり、エロ本のようでもあり(よく考えたらロリコンやら不倫やら近親相姦やら…官能小説に出てきそうな要素がてんこもりだす;)、華麗なる王朝文化カタログでもあり、残酷な因果応報の物語でもあり、キャラ萌えもできる……(以下∞)とは、なんという裾野の広がり方でしょうか。
そりゃあ1000年経っても愛読されるわけですね~。