つけっぱなしのテレビから、「♪そろそろフリ卒~」というフロムAのCMが流れるたびに、思わずぴくっと反応してしまう今日この頃DEATH。


さて、わたしは旅の間、幾度となく”日本の”何かを恋しがったものですが、その中でも最も狂おしく求めていたのが、”日本語の本”でした。
日本人宿なんかにたどり着くと、まずやることは本棚の物色です。
しかし、いざ本を目の前にすると、読めりゃ何でもいいというそれまでの謙虚な気持ちはどこへやら、ついえり好みしてしまう。
「とりあえずヤれれば何でもいいや」とフーゾクに行ったクセに、グラビアアイドル似の女の子を望んでしまう心理と寸分違いません。
でも結局は、30分で読めそうなどーでもいい内容の本(読後、記憶から抹殺されそうな)を選んで、”とりあえずスッキリ”していました。


あと、よく読んでいたのは週刊誌ですね。
宿よりも、大使館などに置いてある確率が高いのですが、「週刊文春」「週刊新潮」を見つけると迷わず手に取っていましたねえ。オッサンかよ。
女性週刊誌もいいですね。あんまり置いてなかったけれども。
サクっと読めるのと、日本の現状が、あくまでも”何となく”分かるのがいいんですよね。タレントのグラビア見るだけでも何だか心が慰められ、なめ回すように見てしまう(やっぱりオッサン)。


バンコクでも、まず目指したのは、王宮でも暁の寺でもなく、伊勢丹内にある紀伊国屋書店でした。
残念ながら、雑誌とマンガはすべてパッケージングされており、立ち読みできませんでしたが、単行本は思う存分読めました。まあ、立ち読みだから、限界はありますが。
欲しい本もいくつかあったけれど、日本で買う値段の約2倍はするので、泣く泣く断念しました。
旅もいよいよ終盤というベトナムでも、そこで知り合った旅友達から借りた、吉川英治の『三国志』を夢中で読んでいました。


と、そのような慢性的な活字飢餓に、この3年5ヶ月陥っていたわけなので、日本に帰ってきたら、本屋および読書は、寿司と並んで最大の楽しみのひとつです。
近所のちっこい本屋では満足できなかろうと思い、友人との待ち合わせのついでに、大型書店ジュンク堂に行ってみました。


…ところが、不思議なことに、欲しい本がほとんどないのです。
ヒマつぶしに読む分にはいいとしても、ちゃんと金出してまで読もうと思える本って、10冊にも満たなかったのです。
旅行中に出た、好きだった作家さんの本ですら、読みたい気持ちは当然あるけれど、手が出ない。レジまでは行けない。
無論、大前提として、”金がない”ことがあるのですけどね…。でも、”万引きしてでも欲しい!読みたい!”と思える本に、ほとんど出会えなかったことに、何だか愕然としてしまったのでした。


それでも、何かステキな本があるかも知れん…と本屋を歩き回ると、「愛される人になるための本」だの「かわいげのある女になろう」だの「モテ道をきわめる63か条」だの「恋愛で勝ち組になる!」だの「本命の彼女になるために」だの……もうエエ加減にせえよ!!!というようなタイトルの、いわゆる”生き方マニュアル””恋愛マニュアル”本が、平積みで置かれており、本に対する情熱や購買意欲がますます失せたことでした。


何故なんだろう?
あんなに好きだった読書、活字中毒とすら云ってもいいわたしたったのに、何故こうも、本に対する興味が失せてしまっているのだろう?


…と考えるに、多分、今は旅が終わった直後で、本だけではなく、外界全体にあまり目が向かないんだと思います。はい。
どちらかというと、静かに内省したいという気持ちが強いのです。外界からの情報を、あれもこれもと取り入れる余裕がない。というか、取り入れてしまうことで、自分の思考とか感情を、ヘタにかき回したくない。

これを人は、引きこもりとか云うのかも知れませんけど…。ていうか、そんなヒマあったら働けよと云われそうですけど…。


というわけで、あくまでも自分にとって活字不作の状況を憂いている中で、今ヒジョーに面白く読んでいる本が、報道カメラマン宮嶋茂樹氏の、
『不肖・宮嶋 踊る大取材線』(新潮文庫)
です(※万引きはしてません)。


旅友でありモバイルパッカー仲間である「中国初恋」 の作者氏から、強力にオススメされた本なのですが、立ち読みの段階から「これはオモロイに違いない!」と確信がありました。
で、読み出したらやっぱりめっちゃオモロイのです。なんちゅうオットコ前なオッサンなの!全部読んでしまうのが、本当にもったいないよ~(なけなしの金で買ったし)。
この本が、恋愛マニュアル本よりも安い値段で売られていることが、あまりにも納得がいきません。


あ、そうや、そうなんですよ。

旅先では、知り合った旅人とのアドレス交換の際、「好きな本」と「好きな映画」を書いてもらっているのです。

それを、まだ整理していないのですが、人から薦められた本は、読みたいという意欲が湧くハズなので、今度本屋さんに行くときは、ノート作ってから行こうっと。


ではでは、今日はこの辺で。次回は、恋愛マニュアル本に対する憤怒でも書いてみたいと思います。