〈四国霊場の天井画には意外なものが……〉
七回忌供養でAさんご一族が来山された。
ひいお祖父さんとひいお祖母さんと、お祖父さんがもう、ご先祖様の仲間入りをしておられる。
喪主だったお父さんを中心に、奥さん、お祖母さん、そしてお子さんと、三代にわたるご家族、ご親族が集まられた。
にぎやかで皆さんの笑顔が好ましい。
法要の心構えをお話しした。
「七回忌は阿閦如来(アシュクニョライ)様が一つの関所を越えさせてくださる時期です。
三回忌で阿弥陀様の極楽浄土に到着し、それから4年間、このみ仏にお導きいただいてきました。
阿閦様は、無瞋恚(ムシンニ)如来、あるいは無動(ムドウ)如来とも呼ばれ、どんなことがあってもイライラせず、怨まず、人の道を邪魔するあらゆる魔ものを降伏させます。
動じることがありません。
み仏の世界を歩まれている故人もきっと、不動の悟りを開き、東の浄土におられるこのみ仏のお力で、よき世界へ転生(テンショウ)する流れに乗っておられることでしょう。
古来、七回忌の法要を終える頃になると喪主を務めた人も縁者の方々も、故人の死と人生を丸ごと受け容れ、乗り越え、引き継ぎの段階をすっかり終えて、故人に見守られつつ不動の信念で新しい世界へ進むことができるとされています。
また一つの区切として、思い出につらなるものをまとめたりするのに適した時期でもあります。
さて、私たちは、亡くなった家族や親族をいつから〈ご先祖様〉とお呼びするのでしょうか?
それは、四十九日忌からです。
中陰(チュウイン)という行く先の定まらない時期を過ぎ、あの世での道が定まればもう、ご先祖様なのです。
そして、喪主はその後、施主(セシュ)となります。
〈喪に服する人〉から〈供養を施す人〉へと役割を進めるのです。
しかし、三回忌あたりまでは、まだ、故人はこの世で果たした役割のイメージが強く、それぞれの人々なりに、お祖父ちゃんやお父さんといった感覚の存在です。
〝ご先祖様になった〟とはなかなか思えないのが人情というものでしょう。
それも七回忌あたりになると、故人に関するすべては〈よき思い出〉という1つの清浄で温かく揺るぎない結晶体となり、仏神に通じる尊さをはっきりと帯びています。
私たちは、このあたりでようやく、ご先祖様として手を合わせられる気持になるものです。
施主様はお1人ですが、それは、本当の意味では施す人々の代表であり、ご先祖様へ供養を施す人は等しく尊い役割を果たしていると言うべきです。
だから、今日は、皆さんが施主様になったつもりで、お手元の経典をお読みください。
経典はまず、日頃の過ちを懺悔(サンゲ)させ、私たちがみ仏の子であることを思い出させます。
清らかな心身でこれからのご供養を行うのです。
次に七回忌の守本尊である阿閦如来様をお讃えします。
そして、お焼香して故人の冥福を祈り、自分もまっとうに生きて行くことを誓いましょう。
最後に、ご供養した功徳をご先祖様と自分たちだけにいただくのではなく、広く生きとし生けるものへ廻し向け、皆共に安心の世界に生きられるよう祈りましょう。
これが本日行う供養会の意味と意義です。
どうぞご一緒にお手元の経文をお読みください。」
最初は小さかったお父さんの声がだんだんはっきりしてきた。
小学校へ入ったばかりのお嬢さんらしい一生懸命な声も聞こえた。
こうした年忌供養の場に代わり得るものはないと思う。
だからこそ、ご先祖様は、その時代、その時代なりに工夫し、方法を伝え、守ってきた。
当山もしっかりと役割を果たして行きたい。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。
「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃ まり ぼり そわか」※今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8