〈餅つきをするウサギ野仙哉君。DIYの店頭には、お正月用の餅が並び始めました〉
小春日和と言うしかない穏やかに晴れたある日、仙北の町から若いご夫婦が車の「カギ供養」に訪れた。
ほとんどの方は「家を解体しました」「車を廃車にしました」といったふうに、過去形で申し込まれるが、ご夫婦は「もうすぐ、新車に乗り換えるので、ありがとうという思いで来ました」と言う。
2人ともまだ30才前後なのに、お布施の袋はちゃんと表書きがされている。
礼儀正しく微笑ましい。
誘導されて玄関前に駐められたのは白っぽいやや小ぶりな乗用車。
大切に乗られてきた様子がうかがえる。
本堂で修法を始めると、イメージの中にある車は、とてもスムーズに辟除(ビャクジョ…悪しきものを祓うこと)も結界(ケッカイ…塀を廻らすように、ご本尊様のご守護を受けること)も進む。
辟除を繰り返さねばならなかったり、結界が張りにくかったりする場合もあるが、長く乗られたと思われる割には何ごともない。
お二人の心がけがよかったのだろうか。
供養法が終わり、最後に車の周囲へ守本尊様10尊の法を結んだ。
「どうぞ、ご安心ください。
最後まで大切にしてくださいね」
言わずもがなの言葉で2人を見送った。
〝ああ、車は人生と共に走る……〟
白い車はゆっくりと視界を行き、門柱から去った。
お2人とも一期一会、あの車とも一期一会、そして、彼らと車がつくる人生とも一期一会だった。
数日前に一匹、雪虫が飛んだあたりの向こうに、やや南側へ体重をかけた笹倉山が佇んでいる。
午後の陽光はまだ、温もりを残していた。
白い車よ、ご苦労様。
感謝に満ちたよき心のお2人に幸いあれ。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。
「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」※今日の守本尊不動明王様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M