鎌倉時代中期、無住(ムジュウ)は密教と禅を学び、臨済宗東福寺派の長母寺で法務を行いつつ、10巻もの説話集『沙石集』を書いた。
彼は、臨済宗の開祖栄西から伝わる秘書『地蔵の決』についても記している。
「その中の肝心に、地蔵は大日の柔軟(ニュウナン)の方便(ホウベン)の至極(シゴク)、不動は強剛方便(ゴウゴウホウベン)の至極(シゴク)となり。」
(その中の最も大切な部分として、地蔵菩薩は大日如来の優しい方法による救済、不動明王は大日如来の厳しい方法による救済を、究極的につかさどるというものがある)
以下、その一部を意訳した。
「ある時、恵心僧都(エシンソウズ)の妹である安養の尼が気絶した。
僧正勝算(ソウジョウショウサン)は不動明王のマントラでえある火界呪(カカイジュ)を唱え、恵心僧都が地蔵菩薩の御宝号を唱えつつ修法した。
やがて息を吹き返した尼が言った。
『不動明王が火炎の前に立ち、お地蔵様が手を引いてくださいました。』」
「ある時、恵心僧都に給仕していた弟子が突然、亡くなった。
彼にはモノにとらわれる気持があった。
一人の僧侶に不動明王のマントラである慈救呪(ジクジュ)を唱えさせ、僧都は地蔵菩薩の御宝号を唱えつつ修法した。
蘇生した弟子は言った。
『4、5人の男たちに持ちものを奪われ、抵抗したけれどだめでした。
是非も問わず奪うのはおかしいとさらに抗議すると、髪を結い、白い杖を持った2人の童子が現れて男たちを追い払い、取り戻してくれました。
さあ、これを持って帰ろうと思った途端、息が出ました。』」
「地蔵は柔らかにふるまい、不動は荒々しく助ける。
事実は口伝(クデン)が真実であることを証明している。
地蔵と不動の適切な救いがなければ、生き死にに伴う苦しみから離れられないのは明らかである。
地蔵は、いかなる迷いの世界にあろうとも、いかなる世界に生まれようとも、お救いくださる。
不動は、まっとうに生きようとする時に邪魔をする業(ゴウ)による障りも、貪り・怒り・愚かさも、あらゆる魔ものたちの障害も取り除いてくださる。
地蔵の救いによって迷いの世界から抜けだし、不動の救いによって魔ものたちから逃れることなくしては、安寧の世界に入れない。
納得できるまでよくよく考えるべきである。」
日本中で武士が殺し合った時代から700年以上経った今でも、秘法は守り伝えられ、お地蔵様とお不動様のご加護は確かである。
四国の霊場にはそれぞれご本尊様がおられる一方、この二尊は、ほとんどの寺院で祀られ、祈られている。
お地蔵様のお慈悲とお不動様のお智慧なくしては、この世をまっとうに生きられないだけでなく、臨終後の行く先も危うい。
本当に〈相手を選ばない思いやり〉というものを考えてみよう。
行き詰まったら静かに唱えてみよう。
「おん かかか びさんまえいそわか」
本当に〈自己中心的でない道理〉というものを考えてみよう。
行き詰まったら静かに唱えてみよう。
「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」
お地蔵様とお不動様の世界が感じられるに違いない。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
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「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃ まり ぼり そわか」※今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8