〈一迫別院は、地域の氏神様を引き継ぎます〉
10月の聖語です。
お大師様は説かれました。
「大山、徳広ければ、禽獣(キンジュウ)争い帰し、薬毒まじり生(オ)う。
深海、道大いなれば、魚集まり泳ぎ、龍鬼(リュウキ)並び住む。」
(大きな山は、広大な徳を持っているので、鳥もけだものも、争うように集まり、棲み、薬草も毒草も混じり合って育つ。
深い海には生きる道がたくさんあるので、魚たちが集まり、暮らしているが、龍や鬼なども住む)
これは、お大師様が法相宗(ホッソウシュウ)という宗派の特徴を示した文章の一節ですが、そのまま、密教が説くマンダラの表現にもなっています。
山と海は自然界を意味し、そこでは文字どおり、あらゆる生きものたちが暮らしています。
それらは、人間の都合による善悪や好悪などの判断を超えており、たとえば、人間によって薬にされる薬草も、食べた者を害する毒草も、それなりの場所で共生・共存しています。
人間の食卓に並ぶ魚も、災厄を及ぼす凶暴な龍や鬼たちも、海はすべて受け容れ、生かしています。
世界はこのように人間の思惑を超え、絶妙のバランスで成り立っており、〈共生〉こそが、ありのままの姿であると言えます。
その真実を象徴的に描くのがマンダラです。
だから、マンダラには根本仏である大日如来や、その使者である不動明王や、大日如来の徳を分け持つ阿弥陀如来や文殊菩薩などのみ仏だけでなく、血肉を食らう毘舎遮(ビシャシャ)、あるいは屍体を貪る女夜叉(ヤシャ)である荼吉尼天(ダキニテン)なども描かれています。
私たちは、〈共に生きる〉以外、生きようがありません。
しかし現在、私たちは、何もかもを〈人間中心主義〉で覆い過ぎてはいます。
異常気象が教えるとおり、環境への並はずれた影響力を持つ私たちは、目先の快適さを求めるあまり、知らぬ間に、あるいは知っていながら、あまりに環境の破壊を進め過ぎました。
もはや、悪因悪果の因果応報は明らかです。
私たちが酷い苦しみを感じ始める前に、もう、他の生きものたちは苦しみ、絶滅させられてもいます。
私たちが「大山」の「徳」を消滅させ、「深海」の「道」を埋めてしまうならば、マンダラは成り立たず、いのちは萎み、消えて行くことでしょう。
生きとし生けるものものはすべて、この世全体のバランスによって生かされています。
ゆめゆめ、忘れぬようにしたいものです。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
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「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y