〈み仏の両眼には日輪と月輪が〉
〈梵字のマ、日輪〉
〈梵字のタ、月輪〉
これまで、葬祭会館の方などから幾度もご質問を受けました。
「どうしてご住職はあれほど静かに歩くのですか?」
答は以下のとおりとなります。
真言密教の行者は、修行道場であれ、あるいはご葬儀場であれ、修法する道場へ入る際には人知れず、いろいろな観想を行っています。
たとえば、右の目には梵字のマ、左の目にはタを置きます。
マは日輪(ニチリン…輝く陽光)、タは月輪(ガチリン…円満な月光)です。
陽光は智慧の光で真実世界をくまなく照らし、月光は瞑想に入った行者へ悟りの心を開かせます。
道場内をこの両眼で観ながら静かに入ります。
心には梵字のウンを置き、金剛薩埵(コンゴウサッタ)というみ仏に成り切っています。
こういう状態で進む足は一輪づつ、目には見えない蓮華を踏んでいます。
だから、スリッパを引きずるような音などは決して出さず、肩を揺すって歩くなどということもありません。
蓮華の花びらを散らさぬよう、足をそっと置くように一歩、一歩と歩むので、正面を向いているご参詣やご参列の皆さんには足音がほとんど聞こえないはずです。
〈滝田商店様よりお借りして加工しました〉
もう一つ、よくあるご質問へお答えしておきましょう。
「どうして最初に棒のようなものを振るのですか?」
実は、以下のとおりの手順で、道場のお清めを行っているのです。
導師の左側には二つの仏器と、その間に1本の棒が置いてあります。
手前の仏器には塗香(ヅコウ)という手に塗るためのお香が入っており、着座した導師はまず、蓋を開けてそのお香を両手に塗ります。
そして護身法を結びます。
次は、奧にある仏器の蓋を開け、左手に数珠、右手に三鈷杵(サンコショ)という仏具を持って、仏器の中に入っている水を加持(カジ)します。
この時に、カラン、カランという音が21回、聞こえるはずです。
数珠に三鈷杵を当て、水を21度、清めています。
それから散杖(サンジョウ)という棒を水へ入れて回します。
これは、水を重ねて清め、清浄な乳水に変えているのです。
それから、散杖の先に水を着け、道場や心を清めるために、横、縦に振ります。
修法を行うには、まず、その場を清めます。
家庭でも、学校でも、職場でも掃除をするのと同じです。
そして、目的の修法がきちんと行われるように、導師や善男善女の心も清めます。
それだけではありません。
これらが終われば必ず、結界の法を結び、魔もののようなものを一切シャットアウトしてから、ご供養やご祈祷やご葬儀の法を順々に進めます。
清めと護身法と結界の手順を踏まない修法はありません。
今回は、導師が道場へ入り、お清めを行うあたりまでの大まかな作法について書きました。
何となく想像していただければありがたいことです。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
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「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0