雨の晴れ間を待っていたかのように陽光が満ちた秋晴れの日、Aさんご夫婦がネコの十三回忌供養にご来山された。
三回忌以来、ご遺骨と10年ぶりの再会となった。
ねんごろに供養し、廻向之証をお渡しする。
安心されたご様子に、こちらの気持も柔らかくなる。
いつの日か、ネコと一緒のお墓を建てたいという。
当山ではペットと一緒に眠る方がどんどん増えている。
人間のお墓にお線香をあげ、ペットのお墓にもお線香をあげる。
あるいは、ペットの命日に人間のお墓もお参りされる。
生きとし生けるもの同士として、人間もペットも何ら変わりはない。
思えば、私たち生きものは、天地自然が持つ造化のシステムと力の中で生まれ、死んで行く。
これがモノとしての側面。
同時に私たちは、どこからか来た者として存在し、死後もまたどこかへ行く。
お大師様は説かれた。
「行行(ギョウギョウ)として円寂(エンジャク)に至り、去去(ココ)として原初に入る」
人生上の重大事にぶつかり、どうにもならない呻きの中で真言と仏界のイメージに導かれ、一心に行ずる時、心の行く先が感得される。
すべてが因果の理において円満し、心が輪廻転生(リンネテンショウ)の中を貫いている真実にうたれる。
私たちが〈在る〉ということの根源へと心が深まり、母なる仏界に抱かれる。
これが心としての側面である。
私たちは肉体としてのモノであり、同時に心としては、モノと違う原理で存在している。
もちろん、二つは交わらない2本のレールではなく、互いに互いへ影響し合っている。
二つが微妙に関わるところに運命も、意思も、修行も躍動する。
当山ではペットに関する修法において呼びかける。
「あなたは家族、あなたは友」
人間でない家族、人間でない友は、人間とは何者か?生きものとは何か?と問わせ、答も教えてくれる。
都市の文明はどんどん自然から離れ、自然を忘れさせもするが、ペットはその危うさに気づかせ、心の乾燥を緩和してもくれる。
やはり、かけがえのない家族であり、友である。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。
「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃ まり ぼり そわか」※今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8