
〈彼は彼なりの姿で……〉
さまざまな方々が、それぞれに真剣な思いでご祈祷 を申し込まれます。
最近は、ご祈祷 の前後に唱える経文を一緒にお唱えするよう、お勧めしています。
1 祈願 と菩薩 道(ボサツドウ)
前部にあるのは、懺悔 (サンゲ)やご本尊様との約束などです。
これまでの行いをすべて懺悔 した上で、み仏を信じ、よき願いをかけるのです。
後部にあるのは、廻向 (エコウ)です。
み仏をご供養 し、よき願いをかけるという善行(ゼンギョウ)の功徳 (クドク)を、有縁無縁(ウエンムエン)の生きとし生けるものへふり向け、自分が一歩でもよき人生を歩めるようになると同時に、この世もまた一歩でもよき世の中になり、自分以外の生きとし生けるものにも生きる喜びが生まれるよう祈るのです。
これは、2500年の歴史をかけて仏教がたどり着いた菩薩 道(ボサツドウ)としての仏教に縁を結ぶ人々にとって必要不可欠の行為であり、この精神あればそこ、よき願いの成就が確かなものになるからです。
その精神とは、自利 (ジリ)、利他 (リタ)、両方の実現を祈りつつ、よき生き方を目ざす心です。
2 自利 と利他
自利 とは、自分のためになることです。
自分がしっかりしていなければ、誰かのためにはなかなか、なれません。
もちろん、それは、いろいろなものに恵まれていることを意味しているのはありません。
心のライフセーバーにならなければ、心の救済はできず、すべての救済は畢竟(ヒッキョウ)、心の救済だからです。
たとえば、病状が悪化して先の短い方と、こんなやりとりをします。
「住職さんが拝んでいてくれると言うのだから、もう、心配はなくなりました。
必ず、お不動さんが護ってくれますね」
「そうですか、大丈夫ですよ。
私もそのうちに行きますからね」
これは、心のありよう一つで、誰にでもできるのです。
たとえば、逝く人へ感謝し、逝く人も感謝すれば、そこには尊い思いやりのやりとりがあり、互いの救済があります。
余分なものを取り去って心からありがとうと言えるのは、自分がよき心になり、自分が救われている状態です。
その誠心が相手に伝われば、心のライフセーバーとして相手を救う大きな力になり得ます。
利他 とは、自分以外の誰かのためになることです。
皆でよくなろうという心がなければ、どんな願いにも穢れがつきまとっており、真によき願いとは言えません。
これまた、いろいろなものに恵まれていることを意味しているのはありません。
お金や地位や知力や体力がなければ、誰かのためになれないわけではないのです。
たとえば、受験の合格祈願 に来られる方と、こんなやりとりをします。
「すばらしいチャレンジですね。
ところで、合格したら何をやるつもりですか?」
「日本では簡単に克服できるいろいろな病気によって、世界中のあちこちで、子供たちが簡単に死んでしまいます。
そうした子供たちを救いたいのです」
こうした利他 の志を持った方ならば、首尾よく合格すれば目標へ早く進めるのはもちろん、もし、失敗したとしても、志に即した別の方法を見つけ出して、進めることでしょう。
合格した途端に遊びまくったり、資格を得て高慢になったりはしないはずです。
また、受験に失敗したからといって、浮き草のようになるはずもありません。
他のためになろうとするよき意思は、必ず自分自身をも救う力を持っているのです。
3 確かな救い
だから、懺悔 (サンゲ)ではこう唱えます。(一部です)
「無始よりこのかた
貪瞋癡 (トンジンチ)の煩悩(ボンノウ)に まつわれて
身と口と意(ココロ)とに造るところの
もろもろのつみとがを、
みなことごとく懺悔 (サンゲ)し奉る」
(無限の過去から
貪り、怒り、愚かさによって積み上げてきた
さまざまな罪科を
すべて懺悔 いたします)
廻向 (エコウ)ではこう唱えます。(一部です)
「願わくば此の功徳 (クドク)を以(モッ)て
普(アマネ)く一切に及ぼし、
我れ等と衆生(シュジョウ)と皆共に
仏道を成(ジョウ)ぜん」
(ねがわくばこの功徳 の力を
広く生きとし生けるものへ及ぼし
自分自身と生きとし生けるものとすべて一緒になり
仏道の成就ができますように)
そして皆さんは、ご来山された時よりも必ずいくばくか、よき心になって帰られます。
顔に輝きが出て、言葉にも力がこもっており、すでに、ご加護はあるのです。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらから どうぞ。(祈願 の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらから どうぞ。
「おん ばざら たらま きりく」※今日の守本尊千手観音様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0
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