
いかに死ぬかは、人生最後の大問題である。
漫然と生きていれば、苦しみのうちに漫然と死ぬしかない。
最期の迎え方について、興教大師 (コウギョウダイシ)は9つのポイントを説かれた。
約880年前、聖者はどう旅立たれたか……。
大意をわかりやすく述べてみたい。
1 身命を惜しむ用心
寿命 が尽きそうだと確信できないうちは、身命をおろそかにしてはならない。
み仏へすがり、医療の助けを受け、安身延命(アンジンエンミョウ…身体を楽にしていのちを長らえる)をはかる。
ただし、いたずらに〝長生きしたい〟と執着するのではなく、悟るべきところをきちんと悟るためにこそ、未熟な身を大切にしたい。
2 身命を惜しまない用心
もはや、死に呑み込まれそうであると覚悟したならば、延命をはかるよりも、心に抱くべきものをきちんと保ちたい。
昨日、誰かの家で死人が出たと思っていると、今日は死が我が身へ訪れるものであり、こう観想したい。
「この世のありとあらゆるものは、夢、幻、泡、影、露、雷光のように儚い」
3 娑婆を離れる用心
生きるために用いてきた場所から、死を迎えるために用いる場所へ移りたい。
それができなければ、剃髪(テイハツ)して仏道に入るか、もしくはそうした心持ちで娑婆のことごとを離れる。
お釈迦様が城を出て悟りを開き、お大師様が瞑想 に入って即身成仏 (ソクシンジョウブツ…この身このままで、み仏の真姿と成っていることを顕わにする)を完成させたように。
4 ご本尊様に導かれる用心
北枕に横臥して顔を西へ向け、信じるみ仏のお像を正面に置き、その手から5色の糸を伸ばし、自分の手でつかむ。
西方浄土 へお導きいただくための準備である。
お香を焚いてご来迎を待つ。
5 業障(ゴッショウ)を懺悔 (サンゲ)する用心
懺悔 (サンゲ)、滅罪などの印を結んだり、真言を唱えたりする。
あらゆるものは空(クウ)であるとする阿字(アジ)の教えを念ずる。
それによって、仏性(ブッショウ)を覆い隠す業障(ゴッショウ…悪しき行為の影響力による成仏の障碍)が消え、阿字の世界へ向かうことができる。
6 悟りを求める決心をする用心
生きとし生けるものと自分は一体であり、それらの苦を抜き、それらへ楽を与えたいと願う。
いかなるレベルの心もすべて、即身成仏 (ソクシンジョウブツ)へ収斂(シュウレン)されることを認識する。
阿字観 (アジカン)に集中して、貪り、怒り、愚かさの雲をうち払い、満月のような仏心を輝かせ、阿字と一体になる。
7 極楽 を観念する用心
極楽 浄土 は遙かな彼方にあるのではなく、最高の安楽は即身成仏 (ソクシンジョウブツ)するこの場に在る。
気づけばたちまち阿弥陀如来の浄土 に入り、そこはそのまま大日如来の無限で永遠の世界である。
自分はもう極楽 の住人に他ならない。
8 最期の時を迎える用心
瞑想 に入ったままで旅立つよう願う。
僧侶は不動明王の結界を張り、天魔外道(テンマゲドウ)を近づけず、悪鬼邪神(アッキジャシン)の妨害を退ける。
死に行く人の吸う息と共に、み仏のご加護が加わって清められ、最期に吐く息と合わせた修法によって成仏できるが、しっかりとした瞑想 に入っていれば、僧侶の手助けがなくても苦から離れ、安心世界へ旅立てる。
9 没後供養の用心
もしも、旅立った人の即身成仏 (ソクシンジョウブツ)が確信できなかった場合は、あの世の苦から救うために追善供養を行う。
この世の苦が耐えがたいことを知っている者は、あの世の苦もまた耐えがたいと想像できる。
あの世で成仏できた御霊は、必ずこの世の人々を救う。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらから どうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
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「おん あらはしゃのう」
※今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM
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