〈リサ・クリスティン
氏の写真をお借りして加工しました〉
〈彼女たちは毎日、石を背負い、山の石切場から麓まで運び降ろす。それが生涯のすべてとは……。〉
〈幾世代にもわたって水銀などに汚染され続ける劣悪な作業場。これは現在の光景である。〉
お釈迦
様もお大師
様も、私たちと同じ人間です。
違うのは悟られたということ。
それは、個別の一人間でありながら、人そのもの、あるいは生きものそのもの、あるいはこの世そのものとしての存在を生ききったということでもあります。
別世界の一端がお大師
様の言葉にあります。
「六道 (ロクドウ)・四生(シショウ)は、みなこれ父母(ブモ)なり。
蠉飛(ケンピ)・蠕動(ゼンドウ)も仏性 (ブッショウ)あらざること無し。」
六道 とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天というこの世のすべての世界です。
四生とは、卵生(ランショウ)・胎生(タイショウ)・湿生(シッショウ)・化生(ケショウ)です。
生きものは、卵から生まれるもの、胎内から生まれるもの、ジメジメしたところから生まれるもの、何もないところから生まれるもののいずれかであると考えられていました。
蠉飛の「蠉」はボウフラであり、フラフラと飛び回るものです。
蠕動はうごめき、這いずるものです。
つまり、どんな生まれをして、どんな世界に生きるものもすべて、「父母」であり、「仏性 」を持っているとされたのです。
ここでいう「父母」は、私たちそれぞれにとっての具体的な父親や母親を指すのではなく、いのちの源のような、あるいは存在の基盤のような、尊さを持ったかけがえのない存在であるという意味でしょう。
なにしろ、父母が揃わない限り、私たちは決してこの世へ生まれ出られないのです。
そして、「仏性 」とは仏に成る可能性なので、文章全体として言わんとしていることはこうなりましょうか。
いかなる生まれをして、いかなる世界にあろうと、皆、等しく欠かせず、かけがえのない存在であり、たとえ虫けらのようなものにすら、仏性 が宿っている。
ここがつかめれば、輪廻 転生(リンネテンショウ)の真実性がわかります。
私たちは、過去の因縁に促され、〈たまたま〉人間として、今ここにいる自分として生まれてきただけのことです。
目の前にいるネコとして、あるいは庭で鳴いているウグイスとして生まれてきたと仮定することも可能です。
そして、死後、いかなるところに、いかなるものとして生まれようと何の不思議もありません。
何ものとして承けようと、生は等しく生なのです。
こうしたことを想う時、自分の行いがこの世にもたらしている影響の重さに気づきます。
暴力、戦争、環境汚染、自然破壊、人権蹂躙、無慈悲な殺生、これらの恐ろしさが胸に迫ってきます。
たとえば、写真家リサ・クリスティン 氏が平成27年に発表した「現代奴隷 の目撃写真」には息を呑んでしまいます。
氏は「NGOフリー・ザ・スレーブ」の活動にかかわり、世界中で奴隷 の実態をカメラに収め、告発しました。
驚くべきことに現在、世界中で、少なく見積もっても2千7百万人以上の人々が奴隷 となっています。
「この数字は大西洋横断奴隷 貿易時代にアフリカから移送された人の倍です。
150年前 農場に送り込まれた奴隷 の値段はアメリカ人労働者の年収の3年分でした。
現在の貨幣価値ならば約5万ドルです。
ところが今日では わずか18ドル程度の借金のせいで、一家族が何世代にも渡って奴隷 になってしまうのです。
驚くべきことに、奴隷制度は世界全体で年間130億ドル以上の利益を生み出しています。」
「今日の奴隷を駆り立てるのは商業です。
奴隷扱いされる人々が作る商品には価値がありますが、商品を作る人々は使い捨てです。
奴隷制度は世界中どこでも違法ですが、奴隷は世界中至る所に存在します。」
こうした現実を知ると、人間が変わらない限り世界は変わらないことを痛感します。
世界が変わらなければ、人間は救われません。
今、日本でどうにか平穏な日々を暮らしている自分が死後、ガーナのジャングルで、一日の大半を鉱山労働に費やし、非人間的な扱いをされつつ若死にして行くことを想像した時、平然としていられましょうか?
私たちは、今の自分が救われたければ、まず、今の自分がどう生きているかを考えたいものです。
もちろん、酷い社会的共業(グウゴウ)に押し潰されまいと必死に抵抗しているかも知れません。
しかし、それでもなお、自分自身を問題にしなければ、世界は根本から変わり得ません。
舛添 問題の狂騒を見るにつけても、真に自分を省みることの重大さと困難さがわかります。
生きとし生けるものに「父母」を観て、まず、自分から「仏性 」に生きようではありませんか。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらから どうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらから どうぞ。
「おん ばざら たらま きりく」※今日の守本尊千手観音様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0
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