アメリカのオバマ
大統領が広島
を訪問するという歴史的な日を迎えるにあたり、お大師
様の教えを思い出した。
お大師
様は『大日経』について説かれた。
「直(ジカ)に月の宮に住む法門である」
直住月宮(ジキジュウゲツグウ)という。
満月を眺めている私たちは、群雲がかかってくると〝早く晴れればいいなあ〟と思う。
また、心中で輝いている満月のような〈み仏の心〉に覆いかぶさる煩悩(ボンノウ)の雲が問題なので、雲をうち払ってしまおうと戦う。
しかし、お大師 様は、月と雲を眺めて右往左往するのではなく、月そのものになってしまうのが『大日経』の教えであると言う。
月になれば、晴れようが曇ろうが宇宙の節理に過ぎず、動ずることはない。
ところで、5月26日、オバマ 大統領は、広島 訪問に先立って述べた。
「第2次世界大戦の甚大な被害と罪のない人々の犠牲を思い出させるだけでなく、まだ我々の仕事が終わっていないことを思い出させるものだ」
「紛争を減らし、平和を構築し核戦争の可能性を減らさなければならない」
一日前の5月25日、作家塩野七生 (シオノナナミ)氏の所感が朝日新聞によってまとめられた。
以下、要点を転載する。
「謝罪 を求めず、無言で静かに迎える方が、謝罪 を声高に求めるよりも、断じて品位の高さを強く印象づけることになるのです」
「少し前に、アジアの二つの強国のトップが、相前後してヨーロッパ諸国を歴訪したことがありました。
その際にこのお二人は、訪問先の国々でまるで決まったように、日本は過去に悪事を働いただけでなく謝罪 もしないのだ、と非難してまわったのです」
「ところがその成果はと言えば、迎えた側の政府は礼儀は守りながらも実際上は聞き流しただけ。
マスコミに至っては、それこそ『スルー』で終始したのです」
「ただ静かに、無言のうちに迎えることです。
大統領には、頭を下げることさえも求めず。
そしてその後も、静かに無言で送り出すことです」
「原爆 を投下した国の大統領が、70年後とはいえ、広島 に来ると決めたのですよ。
当日はデモや集会などはいっさいやめて、静かに大人のやり方で迎えてほしい」
「われわれ日本人 は、深い哀(かな)しみで胸はいっぱいでも、それは抑えて客人に対するのを知っているはずではないですか。
泣き叫ぶよりも無言で静かにふるまう方が、その人の品格を示すことになるのです。
星条旗を振りながら歓声をあげて迎えるのは、子どもたちにまかせましょう」
「ここイタリアでも、原爆 投下の日には、テレビは特別番組を放送します。
毎年ですよ。
あれから70年が過ぎても、犠牲の大きさに心を痛めている人が少なくないことの証しです。
心を痛めている人は、アメリカにも多いに違いありません」
「『謝罪 は求めない』は、『訪れて自分の目で見ることは求めない』ではありません。
米国大統領オバマ の広島 訪問は、アメリカで心を痛めている人たちに、まず、自分たちが抱いていた心の痛みは正当だった、と思わせる効果がある。
そうなれば、感受性の豊かな人びとの足も、自然に広島 や長崎に向かうようになるでしょう」
「広島 の夏の行事の灯籠(とうろう)流しに多くの外国人が参加するのも、見慣れた光景になるかもしれないのです。
そうなれば、原爆 死没者慰霊 碑の『過ちは繰返しませぬから』という碑文も、日本人 の間だけの『誓い』ではなくなり、世界中の人びとの『誓い』に昇華していくことも夢ではなくなる。
それが日本が獲得できる得点です」
「そしてこれこそが、原爆 の犠牲者たちを真の意味で弔うことではないでしょうか」
塩野七生 氏はローマ在住だが、まさに日本人 ここにあり、と思わせる。
慰霊 碑の「過ちは繰返しませぬから」は、日本人 として奥歯が歯茎にめり込んでしまうほど屈辱的で悔しい文言である。
しかし、耐え忍び、それもこの際、措こう。
客人を淡々と、私たち本来のふるまい方に従って迎えよう。
まさに、ここ一番、である。
敗戦後70年、私たちが失ったものと失わなかったものとが問われている。
私たちは自然に、本来持っている叡智と徳に従ったふるまい方ができるか?
一部の跳ね返り分子によって台無しにならぬよう願ってやまない。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらから どうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらから どうぞ。
「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」※今日の守本尊不動明王様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M
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