宗教
とは畢竟、安心
と喜びと納得と生きがいを持って自他共に幸せに生きられる心になるための真理
と原理
を与える〈修行を伴った思想体系〉です。
そこには、説かれている道理
を真理
として納得し感得する→真理
のレベルでよきイメージ
をつくる→よきイメージ
に生きるという段階があります。
そして、よきイメージ
はさまざまな苦を解消させる力を持っています。
たとえば、愛する相手との別れも、憎い相手とのめぐり逢いも、たった二つの真理
が腑に落ちていれば、乗り越えられます。
「自分もこの世も根本的なありようは苦である」
「あらゆるものは変化する→誰でもそのうちに死ぬ」
だから、〈知ってイメージ
を育てること〉が宗教
を生かし、宗教
に生かされる道です。
当山で行っているイメージ
創りの一部です。
○人生の目的とは
【理趣経
(リシュキョウ)百字偈
(ゲ)】
こよなき智慧の ひじりらは
いましこの世の つきるまで
つねに救いの わざをなし
涅槃(ヤスライ)にゆく こころなし。
般若(メザメ)と方便(テダテ) たぐいなき
加持(メグミ)のちから てり映えて
この世のまよい すべてみな
きよけきものと なりぬべし。
大欲(タイヨク)などの ちからもて
世のなかきよめ 調えて
この世の涯(ハテ)の 辺際(ハテ)までも
すべてのまよい つくさなん。
蓮華(ハナ)に深紅(シンク)の いろあるも
泥のけがれに 染まぬごと
けがれに染まぬ 大欲(タイヨク)は
あらゆるものを すくいなす。
きよき大欲(タイヨク) あるゆえに
安楽(タノシミ)ありて 富みさかえ
この世のなかに おもうまま
すくいのねもと 堅(カタ)むべし。
○真理
とは
【四諦
(シタイ)】
我ら苦にあり。
苦には因あり。
苦の因を滅すれば苦なし。
苦を滅するに道(ドウ)あり。」
①苦(ク)…自分もこの世も根本的なありようは苦である
②集(ジュウ)…苦には原因がある
③滅(メツ)…原因を滅すれば苦はなくなる
④道(ドウ)…苦を滅するには方法がある
○この世とは
【四法印(シホウイン)】
この世に常(ジョウ)なるものなし。
あらゆるものに実体なし。
この世も我が身もままならぬ。
煩悩(ボンノウ)を大欲(タイヨク)に変え、平安を得ん。
①諸行無常(ショギョウムジョウ)…あらゆるものは変化する
②諸法無我(ショホウムガ)…あらゆるものに不変の実体はない
③一切皆苦(イッサイカイク)…この世も人生もままならない
④涅槃寂静(ネハンジャクジョウ)…煩悩の業火が消えれば絶対の安心
が得られる
○歩むべき道は
【八正道
(ハッショウドウ)】
我、見解を正しくせん。
我、思考を正しくせん。
我、言葉を正しくせん。
我、行動を正しくせん。
我、なりわいを正しくせん。
我、精進を正しくせん。
我、臆念(オクネン)を正しくせん。
我、心身を正しく整えん。
①正見(ショウケン)…正しい見解
②正思(ショウシ)… 正しい思念
③正語(ショウゴ)… 正しい言語行為
④正業(ショウゴウ)…正しい身体的行為
⑤正命(ショウミョウ)…正しい生業(ナリワイ)
⑥正精進(ショウショウジン)…正しい努力
⑦正念(ショウネン)…正しい臆念
⑧正定(ショウジョウ)…正しい心のおさまり
○人間修行は
【六波羅密(ロッパラミツ)】
我、水のごとく、素直に、他を潤し、心の汚れを洗い流さん。
我、塗香(ズコウ)のごとく、自他を清め、浄戒(ジョウカイ)そのものになり果てん。
我、雨風に負けず咲く花のごとく、堪え忍び、心の花を咲かせん。
我、線香のごとく、たゆまず、怠らず、最後までやりぬかん。
我、己を捨てて食べ物となる生きものに感謝し、心身を整えん。
我、灯明のごとき智慧の明かりで道を照らし、まっすぐに歩まん。
①布施は水の心
②持戒(ジカイ)は塗香の心
③忍辱(ニンニク)は花の心
④精進(ショウジン)は線香の心
⑤禅定(ゼンジョウ)は飯食(オンジキ)の心
⑥智慧は灯明の心
○養うべき心は
【四無量心(シムリョウシン)】
我、他へ幸せをもたらさん。
我、他の苦を除かん。
我、他の幸せを喜ばん。
我、他を平等に観ん。
①慈(慈愛)…相手の幸せを望む心
②悲(抜苦)…相手の不幸を取り除く心
③喜(随喜)…相手の幸せを自分の幸せと同じに喜ぶ心
④捨(浄捨)…相手に対するすなおで平静な差別を捨てた心
〈時ならぬ雪〉