おかげさまで、春らしからぬ寒波と大雪の情報にもかかわらず、善男善女の熱気に包まれ、寺子屋 の第15回目は無事、終了しました。
 今回は急遽、予定を変更してDVD『雪の下の炎 』を観賞し、引き続き2月11日付の朝日新聞へ掲載された「お布施 からリベート 」についてお話ししました。

雪の下の炎 』は、中国の侵略に対してチベット 民族が蜂起した1959年に逮捕され、拷問 にも屈せず33年間の獄中生活を耐え抜いたバルデン・ギャツォ師を描くドキュメンタリー映画です。
チベット に人権など存在しません。私がその生き証人です」。
 このフレーズに導かれて始まる75分間は、文字どおり想像を絶する権力者の暴虐と、死を覚悟して抵抗する不屈の魂を見せ、日常生活の惰眠をうち砕きます。
 
 2006年、トリノで行われた冬季オリンピックの会場外で、バルデン・ギャツォ師は、同志と共にハンガーストライキに入りました。
 2008年のオリンピックが中国で行われるという決定に反対するためです。
「人権侵害と女性差別でオリンピックから外されたパキスタンと、チベット 全体を破壊し、殺人と自殺と飢餓で120万人ものいのちを奪い、今なお弾圧を続けている中国とどこが違うのか」というのが、その主張でした。

 78才になるバルデン・ギャツォ師は、世界中でチベット を救うための活動に邁進しています。

「獄中で仲間から言われた『もし君がこの苦難を生き延びたら、チベット のために闘ってほしい』という言葉は決して忘れない。
『この年齢になってもまだ闘い続けるのは、非業の死を遂げた彼らのため』。
 バルデンは、現在も世界各地を訪れ、チベット の自由を取り戻すために活動している。」

 監督楽真琴(サキ・マコト)氏は、ニューヨーク在住のおりにバルデン・ギャツォ師の自叙伝『雪の下の炎 』に出会い、映画作成を決意しました。
 映画評論家佐藤忠男氏はコメントを寄せています。

チベット 人の苦難の途方もない重さに力いっぱい迫ろうとしている貴重なドキュメンタリーです」。

 ぜひ、多くの方々に本を読み、DVDを観ていただいきたいと願っています。

 法話 では、釈尊が説かれた「苦・集・滅・道」と、苦を脱するための生き方「八正道(ハッショウドウ)」と、具体的実践方法としての「六波羅密(ロッパラミツ)」の関係をお話しし、バルデン・ギャツォ師こそ菩薩 (ボサツ)であり、また、仏性 を発揮しておられる皆さんも菩薩 に見えると申し上げました。
 また、当山は「お布施 からリベート 」なる記事と無関係であること、寺院と僧侶のあるべき姿についての信念などにも言及しました。
 次回は、諸行無常を中心とした教えと、〈中国的な仏教〉〈日本的な仏教〉〈インド的な仏教〉の色合いなどについてお話し申し上げる予定です。

〈神々しい姿〉

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