雪がちらついて底冷えの強い日、仙台市在住のAさんが子供のように可愛がっていたインコを亡くされ、ご葬儀を行いました。
 小鳥のご遺体が入った小さな白いボール紙の箱は供養壇へ置かれ、修法が始まりました。
 いつものように祈りの言葉をかけます。
「あなたは家族、あなたは友、生きて私たちを慰め、励まし、勇喜づけ、~」
 お焼香もしていただき、インコは安心世界へ旅立ちました。
 おりもおり、人間のご葬儀が重なった合間をぬってのお別れでした。

 鳥は毎日手をかけねばならないらしく、一人暮らしのAさんは365日、1日たりともインコから離れません。
 お身内のおられる関東方面まで車を駆ってでかける時も、インコは車内でお供をします。
 そんな家族の最期の日々は、やはり、いつもと違っていたそうです。
 まず、昼に寝ていることが多くなりました。
 急にバタバタしたり、籠から出たがったりするようになりました。
 部屋に放すと、ファンヒーターの間近で直接熱風の当たらない場所を探し、休んでいます。
 窓際に置いたイスの背もたれから、じっと庭の景色を見ている日もあったそうです。
 インコがガラス一枚隔てた外の世界を眺めている光景がありありと想像され、もうすぐ還って行く場所を感じていたのではないかと思われました。

 Aさんは、まだ眠っているかのように美しい緑色や橙色を保っているインコを受け取り、「ありがとうございました。気持が楽になりました」と帰られました。
 インコが視線を送っていた先あたりへ埋葬するそうです。
 Aさんは厚い雪を除けて黒い土をかぶせた上へ再び雪を載せるのでしょうか。
 それとも、「もうすぐ春がくるよ」と、雪は除けたままにしておくのでしょうか。

〈雪の下で春を待っている福寿草〉
龍のブログ-雪の下で春を待つ福寿草