百合病
○百合病:微少な邪気(微邪)が百脈(あらゆる経脈絡脈)に広がりはびこることで生じる病。発症経路は様々。 (脈状・病証・治法) ・傷寒論:「百合狐惑陰陽毒病脈証 併治第三」に詳しい。 ※傷寒論という紹介でしたが金匱要略に同じものがありましたので、傷寒雑病論(傷寒論と金匱要略に 分割される前のもの)を示していたのかと思われます。 個人的には、○田先生の金匱要略のハンドブックを読んでみるのがとっつきやすいと思います。 以下にあげる漢方薬についてもご説明してありますし、参考にされると勉強になると思います。 ただ著者に承諾を得ていないので、伏字で紹介します。(笑) ・治法:百合知母湯・滑石代赭湯・百合鶏子湯・百合地黄湯・百合洗方・括蔞牡蠣散・百合滑石散・ 百合散○狐惑病:身体内の湿気と熱気で微生物が瘡をつくるもの。 (のど・生殖器・肛門の記載はあるが、その他に記載がない。) ・これも「百合狐惑陰陽毒病脈証 併治第三」に詳しい。 ・治法:甘草瀉心湯類を用いる 小便不利でのどが渇く → 猪苓湯 のどが枯れる → 甘草瀉心湯 生殖器に瘡がある → 苦参湯で洗う 肛門に瘡がある → 雄黄で燻じる 赤小豆当帰散を用いる○陰陽毒病 ・陽毒:邪気が陽明経脈に集まり滞って陽気(熱気)が身体の表に鬱積し裏の部位に巡らなくなったもの ・病証 = 熱 の状態 「面が赤く斑斑として錦文の如く咽喉が痛んで膿血を唾する」 → 升麻鼈甲湯 (裏を温め、表の陽気を裏に導く) ・陰毒:邪気が少陰経脈に集まり滞って陽気(熱気)が身体の裏に鬱積して表の部位に巡らなくなったもの ・病証 = 寒 の状態 「面目が青く身が痛み、杖を被子如くで咽喉を痛む」 → 升麻鼈甲湯去雄黄蜀椒(裏の陽気を表に導く、裏を温めないで良いので雄黄と蜀椒を去る) ・陰毒と陽毒:外邪により諸病を生じたとき、むやみ雑多に薬物を用いて邪気が去らずに毒気に変じて生じたものが 多い。雑薬を用いなくて成るものは、経脈の脈気に偏在を持ち、虚を生じることに因る ◎ 陽病=熱病、陰病=寒病 としないで、傷寒論(金匱要略)の処方を用いる今回は、ここまでにしたいと思います。次回は、『陰陽易病』から始めたいと思います。(後記)漢方の病態把握はとても特殊なので現代医学の病名に当てはめるのにとても難しいです。結構、無理やりやこじつけがあったりします。なので病名診断に関して法律では「(西洋医学の)医師以外に病名診断をしてはいけない」というものがあったと思います。結構、勝手に病名を言っている方を見かけます。既に医師が診断したものであれば問題ないと思いますが、医師が診断していないのに医師で無い者が勝手に病名を付けるのはぶっちゃけ違法行為です。しかし漢方(東洋医学)では、独自の病名があります。例えば太陽病とか葛根湯証とか半表半裏とか・・・いろいろあります。現代医学では病気の診断名に検査結果や症状が当てはまるものを当てはめていき、可能性の高い病気の病名を当てはめて治療法を選んでいくという方法が一般的だと思われます。逆に東洋医学は病証や訴えなどから三陰三陽の病期や表裏や陰陽や寒熱などいろいろな状態を病名としていることが多いです。時々、瘧とか奔豚とか特殊なものもありますが・・・。なので西洋医学の病名と東洋医学の治療法が違かったり、解釈の違いがあるのは当然ともいえます。西洋医学は確定診断的なもので病気の改善まで治療法は基本変わらず、東洋医学は現状を確定したものの治療とともに病名や症状も変化して治療法も変わっていくものという違いがあると思います。折角、東洋医学に縁があったのですから、柔らかく、あるがままを見て、真実や本質を見極めながら治療していけるようになりたいですね。なんてね。(笑)ではでは、また不定期で。 _(._.)_