結胸(邪気による熱が胸の下部に結集して痰涎を生じたもの)   ※痰涎・・・粘っこく濃厚な津液

  ・多くの場合、裏実の病証が完全にそろう前、もしくは表証が完全になくなっていない内に下剤を与えたためになる

   ※下剤を与えなくてもなることもある

    (イメージとしては、鼻水で考えると花粉症で見られるサラサラした鼻水ではなく、蓄膿症や風邪が進行して黄色い

    ドロドロした鼻水の方に近い感じでしょうか。)

 

 医経解惑論の結胸の篇で4つの解説が続きます。

  ①心下より少腹に至る結胸の病証があり硬満して痛み、手も近づけられない。この硬満を按じると石のように硬い

   (脈:沈緊で実して力がある。もしくは寸脈浮・関脈沈で実で尺脈も沈実のとき。)

       ↓

      熱実結胸

       ↓

    大陥胸湯・大陥胸丸

 

  ②結胸の病証がまさに心下にあって、これを按じると痛み、少し硬く脈が浮滑

       ↓

      小結胸

       ↓

     小陥胸湯(邪気の熱を冷まし痰水を除く)

 

  ③水結胸があるとき、水気と邪気による熱が一緒になって胸の下部に結集したもの

       ↓

   (1)熱があるとき → 大陥胸湯・大陥胸丸・小陥胸湯

   (2)熱がないとき(寒実結胸) → 白散

 

   ※大陥胸湯・大陥胸丸 ・・・ 邪熱と痰延を攻撃してくだす

    白散        ・・・ 痰延を攻撃してくだす

 

  ④結胸の病証があっても脈が浮大のときは、下剤を与えてはいけない

      ↓

   真の結胸でなく裏虚、もしくは表証があるため経脈の流れが滞り、結胸の仮証を現したもの

      ↓

   (1)裏虚のとき   ・・・ 理中湯・四逆湯など

   (2)表証のあるとき ・・・ 桂枝麻黄各半夏湯・桂枝湯・柴胡桂枝湯など

 

   ※もし上記のときに下剤を与えると死に至る。または結胸の病証がすべて揃っており煩躁しだしたときに死に至る。

      ↑

    追記があり「大陥胸湯などの類を与えるべきときに与えずに時期を逸したもの」とあります。

    ①のときに与えるべきであったのに対応せずに時期を逸して重篤化させて慌てて飲ませたら止めを刺す形になる

    ということでしょうか。この辺の考え方は、西洋医学では見られないものですね。

    病期の考えは洋の東西を問わずあります。治療家としては病状や病証や病態や病期を見極めて対応出来る様にな

    りたいものですね。

 

次回は「臓結」から始めたいと思います。

 

(後記)

医経解惑論の36篇 鍼法の要約 を読んでいるときに『黄帝明堂経』についての話があり、鍼灸甲乙経に記載があり鍼術の治療法の減速や技術が解説がされているということで、すべての鍼灸治療の根幹になっているとのことでした。鍼灸を行うべきものや鍼灸を行うべきときや鍼灸を用いる目的などを鍼法の要約でさらっと述べています。そしてその拠り所として黄帝内経素問霊枢・傷寒雑病論・黄帝明堂経の3部としています。ただ黄帝明堂経は紛失しており、鍼灸甲乙経に記載されているとのこと。ただし鍼灸甲乙経の編者の考えも入っており、黄帝内経素問霊枢と傷寒雑病論も一緒になっているので純粋に黄帝明堂経ではないとのことでした。内〇先生はご自身で黄帝明堂経のみ抽出して解説したいと考えられていたようです。(実現できずにお亡くなりになっているようです。)しかし現代は良いですね。黄帝明堂経を復刻された方がいらっしゃいます。早速、ネットで注文してみました。どんな内容か楽しみです。( ´艸`)

 

ではでは、次回も不定期で。

 

お疲れ様でした。 _(._.)_