FP3級を学習してみるか part10【CH02リスクマネジメント(前編)】
遂にラストチャプターです
CH02リスクマネジメント。
要は任意加入の民間保険ですね。
やっていきましょう
CH02-SEC01 保険の基本
リスクと保険
★各種リスク
「人」:死亡、長生き、病気、ケガ
「物」:住まい、自動車、動産
「損害賠償」:他人の物を損壊、他人の身体・生命を侵害
★公的保険と私的保険
・公的保険:国や地方公共団体が運営、強制加入👈これはCH01学習済みですね
・私的保険:民間保険会社が運営、任意加入 👈これこそ今回のテーマです
★私的保険の分類
・第1分野「生命保険」:生命保険会社で取扱い
👉「人」の生死に関する保険e.g.終身、定期、養老、個人年金
・第2分野「損害保険」:損害保険会社で取扱い
👉偶然事故で発生した損害に関する保険e.g.火災、自動車、自賠責
・第3分野「第三分野保険」:生命保険会社及び損害保険会社で取扱い
👉どちらにも属さない人のケガや病気に関する保険e.g.医療、介護、傷害、
がん、所得補償
保険の原則
★大数の法則
多数の事例を検証すれば、そこから汎用性のある法則が見出されること
★収支相等の原則
保険会社収入(保険料、運用収益)=保険会社支出(保険金、経費)
保険契約者保護機構
★概要
保険会社が破綻した場合の契約者保護
★加入対象
〇:国内営業の生命・保険会社(銀行窓口で加入した保険含む)
×:少額短期保険業者、共済
※少額短期保険業者
👉保険金額が1人あたり1000万以下&保険期間1年以内(損保2年以内)
★補償上限額
生命保険契約者保護機構:責任準備金の90%
損害保険契約者保護機構
👉自賠責、地震:保険金の100%
👉自動車、火災:破綻後3カ月間は保険金の100%。3か月以降は保険金の80%。
👉その他疾病、傷害:保険金の90%
保険契約のクーリングオフ制度
★期間
「契約申込日または告知書面受取日」の遅い日から8日以内
★申し込み撤回・解除の方法
書面または電磁的記録(メール、FAXなど)(⇔口頭はNG)
★不可ケース
・保険会社の営業所で契約した場合👈冷静に判断できる場所での契約だからですね
・保険期間1年以内の保険 👈契約者の不利益の程度が低いから?
・契約にあたり医師の診査を受けた場合👈判断能力に問題ないことが明らかだから?
ソルベンシー・マージン比率
予期できないリスク発生時における保険会社の支払い余力を判断する指標
「保険会社の自己資本の額÷(通常の予測を超えるリスクに対応する額÷2)×100」
200%以上:健全
200%未満:危険性あり👉金融庁からの早期是正勧告の対象
う~ん、なぜ「÷2」をして200が標準ラインになるようにするのか…
保険法(保険契約の当事者間ルール)
・共済契約に適用される
・時効👉保険給付請求権3年、保険料請求権1年
保険業法(保険会社や保険募集人などの業者を規制するルール)
・共済契約には適用されない(⇔共済契約には各種協同組合法が適用される)
・保険業者は内閣総理大臣の登録が必須
・断定的判断の提供、特別な利益提供(保険料割引、保険料立替払い)はNG
学科問題
ちょっと迷いましたね…
★「生命」保険契約者保護機構の補償上限額
責任準備金の90% 👈100%ではないですね…
★保険業法上の規制
保険料立替払いなどの特別な利益提供は禁止
👆エサばら撒いて契約取るな…ということですね
CH02-SEC02 生命保険(👈分量ランク1位)
おお・・・
分量ランク1位(しかも圧倒的1位)が遂に登場!!!
FP3級の全分野の中の王者・ラスボス👑✨ですね
1.生命保険のしくみ
★基本用語
保険「料」:契約者が保険会社に払うお金
保険「金」:保険会社が契約者に払うお金
(被保険者が死亡、高度障害、満期生存した場合)
給付金:被保険者が入院・手術した場合に保険会社が払うお金
★種類
死亡保険:被保険者の死亡・高度障害の場合に支払い
生存保険:被保険者の一定期間生存の場合に支払い e.g.個人年金保険
混合保険:上記2つのミックス
2.保険料のしくみ
★保険料算定の基礎
予定死亡率(死亡保険):低い👉保険料↓、高い👉保険料↑
予定死亡率(生存保険):低い👉保険料↑、高い👉保険料↓
予定利率(運用利回り):低い👉保険料↑、高い👉保険料↓
予定事業費率:低い👉保険料↓、高い👉保険料↑
※上記3つの予定基礎率は余裕を持たせた値で設定するのが通常
★保険料の構成
純保険料(保険金充当部分)
- 死亡保険料👉予定死亡率、予定利率を元に計算
- 生存保険料👉予定死亡率、予定利率を元に計算
付加保険料(事業維持費充当部分)
👉予定事業費率を元に計算
3.配当金のしくみ
★剰余金と配当金
予定基礎率に基づいた保険料収入>実際の支出費用
- 死差益:予定死亡率で見込まれた死亡者数>実際の死亡者数
- 利差益:予定利率で見込まれた運用収益<実際の運用収益
- 費差益:予定事業費率で見込まれた事業費>実際の事業費
★配当金の支払いの有無
有配当保険(3利源配当型):「死」「利」「費」差益全てから配当有り
準有配当保険(利差配当付き保険):「利」差益のみから配当有り
無配当保険:配当無し
4.契約の手続き
★告知義務
告知内容👉判断資料となる重要事項(現在の健康状態、過去の既往歴)
義務者👉契約者or被保険者
受領権者👉保険会社、診査医(⇔生命保険募集人はNG)
・義務違反があった場合👉保険会社に契約解除権が発生
・解除権の行使期間👉保険会社が知ってから1カ月以内or契約から5年以内
★(保険の保障)責任開始日
申込、告知、第1回の保険料払込が全て揃った日
5.保険料の払込み
★払込方法
一時払い、年払い、年払い、半年払い、月払い
★未払いの場合の(契約失効の)猶予期間
月払い👉払込期日の翌月初日から末日まで
年払い、半年払い👉払込期日の翌月初日から翌々月の契約応当日まで
・契約日が3/24、払込期日が3/31だった場合
月払い👉4/1~4/30まで猶予され、5/1に契約失効
年払い、半年払い👉4/1~5/24まで猶予され、5/25に契約失効
★失効と復活
失効
👉猶予期間経過後も未払いの場合に保険契約は効力を失う
復活
👉一定期間内に手続きを行えば契約を元の状態に戻せる
👉未払い保険料を一括払いする必要あり
👉失効「前」の保険料率が適用される
👉健康状態が悪化した場合等は認められない
6.必要保障額の計算
★必要保障額
世帯主が死亡した場合の遺族保障に必要な金額
「死亡後の支出総額-死亡後の総収入」で計算!!
👉末子誕生時が最大、その後は逓減
★死亡後の支出総額
- 末子独立までの遺族生活費
- 末子独立後の配偶者生活費
- その他(葬儀費用、教育費、住居費、緊急予備費)
住宅ローンの残債👈通常は団体信用生命保険に加入しているので消滅
★死亡後の総収入
- 社会保障、企業保障(遺族年金、死亡退職金)
- 保有金融資産(預貯金、株式)
★定期保険
一定期間内に死亡・高度障害になった場合👉死亡保険金が支払われる。
満期時に生存👉満期保険金なし
保険料👉掛け捨て。安い。
- 平準定期:保険「金」額が一定
- 逓減定期:保険「金」額が一定期間ごとに減少。保険「料」は一定。
- 逓増定期:保険「金」額が一定期間ごとに増加。保険「料」は一定。
- 収入保障:保険「金」額が原則として年金形式で複数年払い。
例外的に一時金形式で一括払いもできるが、受取総額は減少。
★終身保険
保障が一生涯継続するが満期保険金はナシ
解約返戻金が多いので貯蓄性高い
一時払いの場合、早期に解約すると解約返戻金が払込保険料を下回る
★養老保険
一定期間内に死亡👉死亡保険金受取OK
満期時に生存👉満期保険金OK(死亡保険金と同額)
8.生命保険の種類【その他】
★定期保険特約付き終身保険
主契約=終身保険、付加契約=定期保険
・全期型:定期保険の期間=終身保険の保険料払込期間
定期保険の保険料は「契約」時の保険料が全期間に適用
・更新型:定期保険特約を一定期間ごとに更新
定期保険の保険料は、更新ごとに高くなる
∵年齢上昇と共に死亡リスク↑
(⇔更新時に告知不要なので、健康状態に関係なく更新OK)
★利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)
支払保険料を
「積立」部分👈銀行口座(アカウント)と同じ役割
「保障」部分
それぞれ自由に設定OK(一定範囲内に限る)
払込期間満了後は積立金を終身保険や年金に移行OK
★団体保険
・総合福祉団体定期(目的:従業員等の遺族保障)
保険契約者👉法人
被保険者👉役員・従業員
保険期間👉1年
受取人👉役員・従業員の遺族または法人(法人の場合は被保険者の要承諾)
・ヒューマンヴァリュー特約
役員・従業員が死亡した場合に法人に死亡保険金が支払われる特約。
∵役員・従業員が生み出していた利益喪失の補填
★こども保険(学資保険)
子供進学の祝い金、満期保険金あり
保険契約者👉親
被保険者👉子供
親死亡した場合👉それ以降の保険料免除
👉進学の祝い金や満期保険金は当初通り支払い
子死亡した場合👉死亡保険金が支払われて終了
★変額保険
保険会社が株式・債券を運用し、その成果に応じて保険金や解約返戻金の額が変動。
定額保険資産のための一般勘定とは別の口座(特別勘定)で運用。
死亡保険金、高度障害保険金👉最低保証(「基本保険金」)あり
解約返戻金、満期保険金👉最低保証なし
- 終身型(一生涯保障)
- 有期型(保険期間が一定)
9.個人年金保険と変額個人年金保険
各タイプにより年金の受取期間が異なる
終身年金:生存期間中のみOK
保証期間付終身年金:保証期間中👉生死に関係なくOK
保証期間後👉生存期間中のみOK
有期年金:生存期間中の一定期間のみOK
受取期間中に死亡した場合は打ち切られる
保証期間付有期年金:保証期間中👉生死に関係なくOK
保証期間後👉生存期間中の一定期間のみOK
確定年金:一定期間のみOK(生死を問わない)
受取期間中に死亡した場合は遺族が受取る
夫婦年金:夫婦いずれかが生存していればOK
※受取開始「前」に死亡した場合は、既払込保険料は死亡保険金として支払われる
う~ん、有期年金と確定年金が紛らわしいですね…
★変額個人年金保険
保険会社の株式・債券運用次第で年金額・解約返戻金等が変動
死亡保険金、高度障害保険金👉最低保証(「基本保険金」)あり
解約返戻金、満期保険金👉最低保証なし
最低保証に関しては変額保険と同じですね…
10.主な特約
特約のみの単独契約は不可。
主契約が解約されると特約も自動的に解約。
★特定疾病保障保険特約(三大疾病保障保険特約)
特定疾病👉がん、急性心筋梗塞、脳卒中
生存中に受取👉死亡保険金と同額。受取時に契約終了。死亡保険金は下りない。
受け取らずに死亡👉死亡原因にかかわらず死亡保険金が下りる。
★リビングニーズ特約
被保険者の余命6カ月以内宣告された場合
死亡保険金が生前に前倒しで支払われる
特約料は不要
★先進医療特約
時期👉療養時
対象医療👉公的医療保険の対象「外」&厚生労働大臣指定の先進医療
場所👉厚生労働大臣の指定する施設
★その他
- 災害割増特約:不慮の事故→180日以内の死亡・高度障害
- 傷害特約:不慮の事故→180日以内の死亡・身体障害
- 災害入院特約:災害・事故によるケガ→180日以内の入院
- 疾病入院特約:病気→入院
- 通院特約:病気・ケガで入院→退院後も通院
11.契約継続のための制度・方法
★自動振替貸付制度
解約返戻金のある保険契約で支払い困難→支払い継続したい
👉保険会社が自動的に保険料を立替(解約返戻金を限度)
★契約者貸付制度
解約返戻金のある保険契約で支払い困難→支払い継続したい
👉保険会社から資金の貸し付けを受けられる(解約返戻金の一部範囲)
★払済保険
保険料の支払いが不可能→以後の支払いを中止するが契約は継続したい
👉解約返戻金を取崩し、一時払いで、同種類の保険に変更
👉保険期間:元契約の満期と同じ
👉保険金額:元契約より少ない
👉特約部分:消滅
★延長保険
保険料の支払いが不可能→以後の支払いを中止するが契約は継続したい
👉解約返戻金を取崩し、一時払いで、「定期」保険に変更
👉保険期間:元契約の満期より短い
👉保険金額:元契約と同じ
👉特約部分:消滅
う~ん、「延長」なのに保険期間は元契約より短くなるんですね…
これは引っ掛かりそうですね
12.保険契約の見直し
★契約転換制度
👉契約継続ではなく契約自体を変更
👉現契約の責任準備金や配当金を利用して新規保険に加入
👉告知、医師による診査が必要
👉保険料は転換時の年齢、保険料率により算定
★増額(特約付加)・減額
👉特約の保険料は付加時の年齢で算定
13.生命保険と税金
★生命保険料控除(2012年以降の「新契約」)
・区分
一般生命保険料控除:生存・死亡に起因して支払われる部分
e.g.終身保険、定期保険
個人年金保険料控除:税制適格特約が付加された個人年金保険契約に係る保険
介護医療保険料控除:入院・通院等に起因して支払われる部分
e.g.医療保険、がん保険、介護保障保険、先進医療特約
※身体の傷害のみに起因した保険契約(e.g.傷害特約)の保険料は対象外
※「個人年金保険料控除」の要件
→要件充足しない場合は「一般」生命保険料控除の対象
①年金受取人が契約者or配偶者
②年金受取人=被保険者
③保険料払込期間が10年以上
④確定年金・有期年金→受給開始日の年齢60歳以上&年金受取期間10年以上
・最高控除額
一般生命保険料:所得税40000円、住民税28000円
個人年金保険料:所得税40000円、住民税28000円
介護医療保険料:所得税40000円、住民税28000円
3つ全て適用:所得税120000円、住民税70000円
3つ全て適用した場合、住民税は84000円ではないのですね…
★「死亡」保険金受取時の税金
契約者A、被保険者A、受取人B
👉相続税
(保険料支払者の死亡を原因として、
形を変えた保険料を第三者が対価なくして受取→相続に類似)
契約者A、被保険者B、受取人A
👉所得税+住民税
(保険料支払者以外の者の死亡を原因として、
形を変えた自身の既払金を保険料支払者が受取)
契約者A、被保険者B、受取人C
👉贈与税
(保険料支払者以外の者の死亡を原因として、
形を変えた保険料を第三者が対価なくして受取→贈与に類似)
★「満期」保険金受取時の税金
契約者A、被保険者X(誰でもok)、受取人A
👉所得税+住民税
(満期を原因として、
形を変えた自身の既払金を保険料支払者が受取)
契約者A、被保険者X(誰でもok)、受取人B
👉贈与税
(満期を原因として、
形を変えた保険料を保険料支払者以外の者が対価なくして受取→贈与に類似)
★一時払養老保険等の満期保険金、解約返戻金
受取人👉契約者
保険期間👉5年以下(元々5年超で5年以内に解約した場合を含む)
徴収方法👉源泉分離課税20.315%(所15+復0.315+住5)
★個人年金保険
受取人👉契約者
年金形式で受取👉雑所得
一時金で受取👉一時所得
★非課税となる保険金・給付金
入院給付金、高度障害保険金、手術給付金、介護保険金・給付金、
特定疾病保険金、リビングニーズ特約保険金
※受取人👉本人、配偶者、直系血族、生計を一にする親族
14.法人契約の保険
金財の実技試験「保険顧客資産相談業務」で出題されます…と。
日本FP協会の試験を受験する場合はスルーでOK…ですね
学科問題
43問もありましたが、最後の問題はスルーでOKなので全42問ですね。
2問ミスでしたが、迷った肢もチラホラ…
★告知義務違反があった場合の保険者の解除権行使期間
👉保険会社が知ってから1「カ月」以内or契約から5年以内
前者の短期消滅時効は1「年」に非ず…
★契約の復活
👉失効「前」の保険料率が適用される
👉健康状態が悪化した場合等は認められない
★定期保険特約付き終身保険(更新型)
👉保険料は、更新ごとに高くなる
👉ただし、更新時に告知不要なので、健康状態に関係なく更新OK
★契約転換制度(保険の見直し)
👉告知、医師による診査が必要
👉保険料は転換時の年齢、保険料率により算定
★増額(特約付加)・減額(保険の見直し)
👉特約の保険料は付加時の年齢で算定
★必要保障額
👉末子誕生時が最大、その後は逓「減」
★個人年金保険(一定年齢に達すると受取可能)
各タイプにより年金の受取期間が異なる
終身年金:生存期間中のみOK
保証期間付終身年金:保証期間中👉生死に関係なくOK
保証期間後👉生存期間中のみOK
有期年金:生存期間中の一定期間のみOK
受取期間中に死亡した場合は打ち切られる
保証期間付有期年金:保証期間中👉生死に関係なくOK
保証期間後👉生存期間中の一定期間のみOK
確定年金:一定期間のみOK(生死を問わない)
受取期間中に死亡した場合は遺族が受取る
夫婦年金:夫婦いずれかが生存していればOK
※受取開始「前」に死亡した場合は、既払込保険料は死亡保険金として支払われる
いやいや…
FP3級のラスボス
さすがの分量です…
CH02の途中ですが、
長くなりましたので前後編に分けます
ということで
FP3級を学習してみるか part11
【CH02リスクマネジメント(後編)】
へ続きます