太鼓持ちをしていた全盛の時には、
豪華なお月見をしてみたいが、
何か良い方法は無いかと問われると、
平安時代に貴族のお遊びとして、
歌を詠んだり飲食をしてお月様を愛でたのが始まりとかで、
大覚寺(だいかくじ)の大沢池で嵯峨天皇様が船を浮かべて
観月の夕べをされていますから、
同じ様な事をされたら宜しいのではと申し上げていました。
嵯峨天皇様は離宮嵯峨院造営の時に、
中国唐の洞庭湖を模して作られた
日本最古の人工の林泉(りんせん)で、
今も大沢の池で楽しむ事ができます。
大覚寺の観月祭では、
この大沢池に龍の頭と鷁(げき)の首が船首に飾られた船、
龍頭鷁首船(りゅうとうげきしゅせん)が浮かべられて、
お月見を楽しむ事ができます、
特に船から池に映るお月様は幻想的で、
趣があると言われていますが、
乗った事はありません。
そこまでしてお月見をするのはチョットと言われると、
情緒も兼ね備えてお月見をしたいと思うのなら、
嵐山の大堰川(おおいがわ)に架かる
渡月橋で見るのが良いでしょうと答えます。
亀山天皇様が、
船遊びした時に、
夜空に浮かぶお月様がまるで橋を渡っているように見えたとかで、
月が渡る橋なので渡月橋と名付けられたと言うくらいですから、
川のせせらぎを聞きながら、
好きな人とホテルで浴衣に着替えて、
手をつないで、
ボンヤリとお月様を眺めたいモノです。
お月見は秋の収穫祭に感謝をする行事でもありますから、
本来はお団子の代わりに里芋の茹でた「きぬかつぎ」を15個、
三方に乗せ、お神酒を供えて、
秋の収穫に感謝を致しますので、
やはり宴席に工夫をと言われれば、
お座敷に天体望遠鏡で撮ったお月様とススキを飾ったら良いのではと答えますと、
この方法ですと何度か実践した事がございます。
「きぬかつぎ」とは、
身分の高い女性が外出する時に衣などをかむり、
顔が見えにくくしていたものです、
この衣の覆いを取って、
顔を見る事は即ち身を委ねる事を意味するそうです。
茹でた里芋の皮をツルリと剥いて、
萩の枝で作った箸で里芋に、
クルクル回しながら穴を開ける意味深な行為もします、
その穴からお月様を覗くと目が良くなるそうで、
目=女も良くなるそうです。
その時に唱えるのが
「月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」と
片目に3回両目で6回唱えると良いそうです。
和菓子の最中もお月見と関係があります、
平安時代から貴族が、
船を浮かべて詩を読み宴をしたそうで
「水の面(おも)に 照る月なみを かぞふれば 今宵ぞ秋の最中(もなか)なりける」
の詩が有り、
この詩から江戸吉原のお菓子屋「竹村伊勢」が、
満月をかたどった煎餅「最中の月」を売り出したそうです。
今ではこの煎餅の中に餡が入ったのが、
今の最中(もなか)だそうですが、
宴席ではあまり甘党は居ませんので、
子供さんが加わったお月見の会ですと、
お団子よりもコレを出された方が、
便利で楽ですよと申し上げております。