久しぶりに太鼓持ちの夢を見た、
何人かの太鼓持ちの師匠たちが
何故かしら立って川の中で踊っている、
私が太鼓持ちに興味を持ち出して、
資料さがしや師匠探しなどしていた時の
夢のようだった。
その当時は高度成長期で、
誰が何をしても儲かって来た時代の感じがする、
そんな時代の中で
チャラけてバカ踊りをしている、
何故尻端折りをして
寒いのに川の中で踊っていたのか、
目が覚めてから疑問が続く。
もっと昔は、
お座敷に呼ばれた太鼓持ちが、
旦那が庭の池に映る月を見て、
良いものが池に浮かんでいるなぁ~、
太鼓持ち取ってきなさいと言われて、
ヘイ、とばかりに
尻端折りをしてザルを持って
寒いのに池の中へ入ってお月様を掬う事を
何度もさせられた、
との話は聞いている。
寒くて震えながらも池の中で、
おどけながら取れないと分かっているお月様を、
ザルで何度も掬っている姿を、
暖かいお座敷の中から
芸妓相手に酒を酌み交わしながら、
笑って見ている。
月一つ取れないのかバカヤローって言われて、
ヘイ、申し訳ございませんと謝って、
初めて池の中から出られたそうです。
それだけなら単なるイジメでしかないが、
実は風呂場で体を洗って出てくると、
新調された立派なお着物下履き一式が、
旦那の家紋入りの羽織も有って
揃えられていていて、
その上には過分なるご祝儀が乗っていたそうです。
当然着ていたお着物は、
全て洗い張りされて縫い直されて、
後日返されます。
単にお着物やご祝儀を
プレゼントするのでは無くて、
太鼓持ちの度量までも見据える、
そこに旦那の粋さや、
太鼓持ちの根性が現れている。
私もそこまでの遊びを
経験した事は無いですが、
それに近い事までは何度かあり、
お着物も頂いた事もありました。
そんなお遊びをする旦那は、
貧乏ながら一代で
自分の地位を築き上げてきた人ばかり、
表面のチャラけた動作から、
その奥にある思考の原点まで
見据えての行動であり、
それが分かっての太鼓持ちの言動に、
2人の間には絵も言われぬ深い想いや信頼が、
通じ合ってると感じる事かありました。
今では、
平屋建ての広い庭を所有している高級料亭にて、
お座敷には1~3人ほどのお客様が利用し、
そこに芸妓が6人ほど入り、
太鼓持ちが呼ばれる、
そんな1人のお客様が何十坪もの面積を占有し、
何人ものお遊び相手の芸妓達を呼んで、
素晴らしい料理やお酒を交えて、
お遊びする事は無くなって来ました。