ただいま。

俺の相棒カミソリ

お前と一緒に偉業を成し遂げよう。

美しい妻を持った罪

15年服役させられた理髪師

ベンジャミン・バーカー。

妻は判事に凌辱され、服毒自殺。

赤ん坊は判事の養女に。

街へもどったベンジャミンは

スウィーニー・トッドと名を変え

剃刀をとぎながらチャンスを待つ。

「どなた様も

最高の切れ味をご堪能あれ!」

 

 

スウィーニー・トッド

フリート街の悪魔の理髪師

ティム・バートン監督

2007年

ジョニーデップ

ヘレナ・ボナム=カーター

アラン・リックマン

ティモシー・スポール

ジェイミー・キャンベル・バウアー

19世紀英国ロンドンが舞台なので

クラシカルな装いとゴシックムード満点。

これミュージカルだったんですね!

ハリポタでお馴染みの役者さんたちが

出演されていて贅沢気分赤薔薇

 

ジョニー・デップと

アラン・リックマンがセクシーで

ジェイミー・キャンベル・バウアーが

とびきりの美男子さん♡

ヘレナ・ボナム・カーターの歌声は

無邪気で童のような味わいがあり、

娘役の女優さんが小鳥のようにさえずり、

ティモシー・スポールの腰ぎんちゃく感、

サシャ・バロン・コーエンも

いかにも詐欺師という風貌。

「ノートルダムの鐘」のような音楽、

「モンテクリスト伯」のような理不尽、

「オペラ座の怪人」みたいなドラマ性、

シュールな映像美は

「ビートルジュース」を思い出しました。

 

 

 

  愛という名の罪

たくさん血が流れるけど

スラッシャー映画にならないのは

ハートがあるから。

同じ女性を愛した2人の男

理髪師を愛した夫人

夫人を守ろうとする少年

愛からはじまる悲劇って、

まるでシェークスピアみたい。

グロテスクなのに上品

そこがティム・バートンの魅力でしょうか。

どんでん返しにも驚きました。

 

  感想

復讐に目がくらむ。

 

理髪師一家の幸せは温かな色。

色鮮やかな花いっぱいの

愛と光に輝く美しい妻ルーシー。

彼女に懸想した判事の策略で

カラフルな色が奪われてしまう。

カラーから青みの強い画面へ。

清い空気が一気に毒へと

場面転換するファンタジー!!!

ベンジャミン・バーカーは

スウィーニー・トッドと名を改め、

人生を狂わせた判事へ復讐を誓う。

寝ても覚めても

判事の息の根をとめることばかり考え、

「早く命を奪いたい」と焦る。

そんな彼の耳元で

ミートパイ店主ベネット夫人が囁く。

 

復讐の醍醐味は

”念入りな計画”

理髪師の商売道具を

密かに保管していた彼女は、

トッドを愛しています。

夫亡き後、彼女は独りで

パイ屋を細々と営んできた。

彼女の夢は、

トッドと少年と3人で

海辺で仲良く暮らすこと。

幸せになりたい。

彼の頭から妻の影を払拭したい。

過去より今をみてほしい。

妻より私のことをみてほしい。


2階で腕の良い理髪師トッドが

パイの具を仕入れ、

1階で夫人が腕をふるってパイを焼く。

「世の中、食うか食われるかだ」

「客の数だけ味も豊富なパイ」

「味つけは秘密よ」

たちまち美味しいと評判になり大繁盛!

 

しかし、

夫人に拾われた孤児トビーは

トッドに秘密があるとにらむ。

行き場のない自分を救ってくれた

優しい夫人に災いが振りかかるのが

心配でたまらない。

トッドは悪党にちがいない。

何かを隠している。

きっと貴女を不幸にする。

僕があなたのそばで守るんだ。

夫人がグルだと知らない少年は

ピュアな想いを抱きます。

夫人は少年への母性と、

トッドへの愛を天秤にかける。

 

少年が秘密を知れば、ただではすむまい。

 

口を封じねばならない…

 

涙ぐむシーンがとても良いですねぇ。

 

トビー少年が地下の窯番を頼まれ、

出来上がったパイを一口かじると

なにやら違和感が。

 

塊を口から取り出すと…

 

人の指!!!

これは一体?!

さぁ、少年の運命は?

夫人の夢はどうなる?

トッドのに一目惚れした

青年は判事から娘を救出できるのか?

店の周囲をうろつく女浮浪者の正体は?

 

ついに、時はきた。

 

トッドは憎い判事のあごに

シャボン泡をたっぷり塗り、

剃刀をなめし皮でとぐ。

殺意と誠意をこめて剃刀を握るのだった。

 

過去や復讐に

目がくらみ

 

憎むべき相手と、愛する相手の

区別がつかなくなった男の悲劇。

 

 

せつないラストが最高の切れ味です。