昼休みにランチを食べる時間も惜しんで

マリオンは彼氏と逢引き。

彼が出張するたびに安ホテルで人目を忍ぶ関係に

飽き飽き。結婚したい。母妹に会って。

しかし彼は彼女の視線から逃げるように

言い訳する。

金がないから再婚しない。

結婚なんていいことないぜ。

嫌なら他の男をあたればいい」

「…じゃぁ、私

ずっと独身のままなのね」

職場へもどると

初老の客が彼女の机に腰をかけ、

なめるようないやらしい目で見る。

鼻先で分厚い札束をパタパタ見せびらかし

「この程度の金は惜しくないぜ。

これは幸せを買うためでなく

不幸を追い払うための金だ。

あんたは不幸かね?」

マリオンは会社を早退すると

い清楚な下着から

いレースの下着に着替え

客の4万ドルをハンドバッグに忍ばせ

恋人が住む町へ向かった。

 

 

サイコ

アルフレッド・ヒッチコック監督

1960年

アンソニー・パーキンス

ジャネット・リー

ヴェラ・マイルズ

TV放送の度に録画する1本(笑)

今回は

3人のヒロインに注目して観ました。

ヒロインはからへバトンタッチ。

さらにラスボスへとリレーされます。

 

 

前回の感想は↓

 

彼氏のサムは

恋人が行方不明だというのに

他人事消極的

「事故か事件にでも

巻き込まれたんだろ?」

 

警察に任せて待っていればいい

 

だが妹の熱意に押され、

横領に走らせた罪悪感もあり

モーテルへ同行します。

悪い人ではないけど、

純粋な愛情があるとは言えない。

 

このように

ヒッチコック監督のキャラづくりは

人物の微妙な立場や、胸の内が露見する。

そこが面白いです。

 

 

  前半のヒロイン

前半のヒロインを演じるジャネット・リー。

緊張感あふれる演技が大好き。

逃亡の支度をしながら、

分厚い封筒に入った大金が気になり

チラチラ見る。

視線だけで「進むか、やめるか」揺れる心を表現。

宿泊したモーテルで

人生の軌道修正を決心しますが、

未来を断たれてしまう。

 

  後半のヒロイン

妹を演じるのはヴェラ・マイルズ。

「間違えられた男」のヒロインです。

ジャネット・リーに比べ存在感が薄く

監督が彼女を魅力的に撮ろうという

情熱が感じられません。

 

でも、モーテルの経営者ノーマンを疑い

じっと眼を離さず射るような瞳。

作り笑顔から、焦りの顔へ。

刻々と気持ちが変化する演技!

もし彼女が「めまい」のヒロインだったら

さぞかし…と思うほど

繊細に変わる表情がいいんです。

 

私のお気に入りは

ベイツ邸へ潜入するシーンハート

 

 

  3人目のヒロイン

妹ライラは嫌な予感がする。

 

モーテルで姉の足取りが途絶え、

雇われ探偵も消息を絶った。

約束の1時間をすぎても

探偵アーボガストから連絡がない。

 

彼の身に何かあったのでは?

 

「ベイツ親子は

4万ドルで新天地へ移るために

姉を殺害し奪ったのでは?

経営者の病気の母親に会って

話をききたい。

彼女が何か知ってるにちがいない」

 

ところが

保安官代理夫妻の話によると、

10年前に母親は亡くなっているという。

じゃぁ、家の窓にうつった

母親の影は何だったのか?

 

本当は生きているのでは?

まさか幽霊?

サムがノーマンを足止めしている間に

妹は屋敷へしのびこむ。

 

さぁ、ここから

まるで自分もその場にいるような

ドキドキ感が味わえます。

 

モーテルを抜け出し、家へむかう。

どんどん近づいていく。

家が迫ってくるような怖さ。

静まり返った家。

気を強くもって

ドアが近づいてくる。

ノブをゆっくりひねり、中へ。

足音を忍ばせ、階段をのぼって2階へ。

ノーマンの母親の寝室へ入ると

妙に豪華でクラシカルな部屋。

手が折り重なるブロンズ像が不気味。

母親の匂いが充満したような空間だ。

さっきまでここにいたようだ。

やりかけの刺繍。ドレッサーに美容道具。

ふと人の気配を感じ

ギョッとして振り返ると

な~んだ、自分か。

合わせ鏡にうつる自分だったのか。

胸のザワザワ感が増していく。

ベッドにはさっきまで寝ていたような

くぼみが。

腕をのばして体温を確かめる。

母の部屋とちがって子ども部屋は質素。

うさぎのぬいぐるみ。

エロイカのレコード盤。

ベートーヴェンの英雄です。

異様な雰囲気に不安がつのり

そしてついに!!!!

3人目のヒロインが登場します。

4万ドルには全く興味をもたない

生死をこえて息子を支配する

真のヒロインが…。

最後の最後まで目がはなせない

サイコでした。