若い女性の顔からシリコンのマスクを
ゆっくり外すと妻の顔が現れた。
優秀な形成外科医が違法に生み出したのは、
火傷にもにも耐えに刺されない
世界一のはバーナーのを近づけても
熱くない。
「終了だ。もう改良手術はしない」
「じゃあ、私は完璧ってこと?」
 

 

 
私が、生きる肌
ペドロ・アルモドバル監督
2011年
アントニオ・バンデラス
エレナ・アヤナ
マリサ・パレデス

私の好きな芸術的スリラー映画

「顔のない眼」に屋敷や人物設定が
そっくり!!! 
レビュー⇒こちら
 
交通事故火傷を負った愛する女性
 
・彼女が絶望しないように
部屋のをはずしカーテンで外の光を遮断。
 
科学技術向上のためには手段を選ばない医師。
 
・悪魔の所業に加担する年配の女性
う~ん、やっぱり「顔のない眼」
酷似してる(≧▽≦)嬉しー!
 
カラー&モダン&スタイリッシュに
味付けしたリメイクかな?
 
ワクワクしながら見始めると
予想を上回る展開 
(((o(*゚▽゚*)o)))おぉぉ
 
屋敷は医師のそのもの
郊外にひっそりたたずむ大抵宅
手術室を完備した闇の研究所
監禁室へつづく階段をのぼっていくと、
廊下には巨大な裸婦の絵画が。
とことん楽園に妄執する男だと
わかる室内装飾です。
ひとつひとつのカットが、
美術館の展示を鑑賞している気分。
フェルメールの静かな室内
ベラスケス・カラヴァッジョの描く
ドラマティックな世界観。
濃熟極彩色情熱的音楽にうっとり。
バロック絵画モダンアート
きな方にオススメ(*^^*)
 

 

  感想

今日から君をベラと呼ぶよ。

被験者をベラ美しいの意味)
と名付ける医師。
血液パックを注射器で吸うときに流れる
効果音心臓の鼓動。しびれる演出です。
亡き妻が失った肌を取り戻そうと、
人工皮膚の製造、手術を
他人を実験台にするロベルト医師。
徐々に登場人物たちの、渇望がみえてきますよ。
医師の自由を求めて浮気相手と逃避行。
 
は窮屈な洋服を脱ぎ捨て、
裸で生きたい(自由になりたい)と願っていた。
服飾に携わる青年は
町を出て自由になりたいと夢みていた。
医師は、法律で禁止された研究を
自由にすすめたい
そして、二度と失うことのない愛を獲得したい。
ヒッチコックの「めまい」
主人公が幻の女にとり憑りつかれたように、
彼もまた幻想の愛を追い求めています。
ある日
トラの仮装をした招かれざる客
屋敷を訪れ、 監視モニターに気づく。
 
ヨガをする美女をじっと見つめ、
獲物を味わうようにカメラを舐める。
家政婦を縛り付け、
監禁部屋のを奪い、階段を上がっていく。

監禁部屋の扉をあけた!
 
扉が開くのを、待ち構えていたベラ。
 
トラ男に捕まっても、囚われるより、マシ。
相手がトラだろうが怪物だろうが
問題じゃない。
「私をここから出して! 
なんでもするわ!」
 
でも、女心がまるで感じられないんです。
なんだかちぐはぐな違和感。

この女の子、どうもヘンだなぁ。

が深まります。
 
帰宅した医師がを手に2人を見下ろす。
家政婦はつぶやく。
「殺すのよ。2人とも撃ちなさい」
明かされる家政婦の正体!
トラ男の正体!
そして美女の正体!
えぇ~~Σ( ̄ロ ̄lll)
あっと驚くどんでん返し!

さっきまでの私の違和感に納得です。
最強の肌というをつけたベラは
心にも鎧をつけていた。
第二の招かれざる客
持ち込んだ新聞紙を手にとる。
 
行方不明者として掲載されている写真は、昔の自分
諦めかけたが、大きくれはじめる。
何年も私を探しつづけている母の元へ帰りたい。
生み育ててくれた母への想い
ふわ~っと蘇ってきた。
 
「煙草をちょうだい」
火をつけてもらう指が、かすかにふるえる。
深く吸って一呼吸おくベラ。
「私をじてほしい。
あなたとの新生活のために買い物へいきたいの。
逃げ出さずに帰ってくるから。
永遠にあなたのそばから離れないと約束する」
 
約束通り、医師のもとへ戻った彼女。
しかし新生活のスタート清算だった。
 
そして、
たどりついたのは
幻ではなく、偽りでもない愛のかたち。
 
「このワンピースを覚えてる?」
ジャケットを脱ぎ、花柄のワンピースを見せた。
 
結末は、まさかの、ほろり感動でした(*´ω`)

 

自分を産みだした存在から逃れたい、
逃れられないたちの物語。
 
二重らせん構造のエンディングと
こだわりぬいた監督の世界観を味わいました。