一卵性双生児の兄弟はそろって産婦人科医に。
人生を分け合ってきた2人は、一人の女性を共有しはじめる。
しかし、弟が本気の恋におちる。
「もう兄さんとは分け合えない」
常に一緒だった兄弟が、初めて未知の問題にぶつかった。
「戦慄の絆」デヴィッド・クローネンバーグ監督1988年

 
ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド
(画像お借りしました)
原題はDEAD RINGERS(瓜二つ、そっくりさん、生き写し)
性格の異なる兄弟を演じ分ける
ジェレミー・アイアンズの凄さ
は社交的で華やかな表舞台に立つ
は内気で真面目、研究一筋の学者肌
のマネをする

「どちらがどちらか見分けがつくかしら?」
と、自信がなかった私ですが
どんどん2人の違いが顕著になっていきました。
強烈な色彩効果神経を刺激し鳥肌がたちますよ。
青色赤色が兄弟を表しているよう。

不気味でグロテスク官能的、生理的な不快感が溢れているのにしい。
クローネンバーグ監督の独特な世界観ですねぇ。
物語の根っこにあるものは孤独しみ・生きる
評価が高いカルト映画の所以、わかりました(*^ー^*)
同監督作品「デッド・ゾーン」のレビュー⇒こちら


【感想】
みは人格をゆがめる。
百害あって一利なしだ。
双子の弟の言葉です。
そう、今作は心の痛みを描いた物語。
妊娠出産産みの苦しみがあるけれど、
人生を分かち合ってきた兄弟分離する痛みに苦しむ。

女性から生まれた2人。
女性の不妊治療に携わる産婦人科医に就く。
やがて一人の女性によって2人は引き裂かれていく。
患者として知り合ったクレア(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)がつぶやく。
あなた、何か変だわ。
時々、素敵で魅力を感じる。
でも、平凡で地味な人にも見える。なぜかしら?
すれすれの精神分裂みたい」
女のにドキリとする弟。
(双子の兄と入れ替わっているなんて、絶対バレちゃマズイ)

彼女が選んだのは、
女性の扱いが上手なではなく、女性の心に寄り添う優しい



さぁ、ここからが悪夢のはじまり。
ベッドに横たわるクレアと弟。
っている弟がみるが強烈なんです。
なぜか傍には兄が。
しかも、兄弟は臍の緒でつながっている。
クレア「私があなた方を引き裂いてあげる」
へその緒を口に咥えてズルズルと引っ張り出しひきちぎる。
「わっ!」
叫び声をあげて、とび起きる弟。
お腹をさわりながら、肩で息をする。

彼の深層心理が伝わってきますねぇ。
兄と別々の人生を送ることが、不安だし罪悪感に襲われているんです。

ささいな出来事に、ますます神経衰弱していく。
その姿が切ないやら、ハラハラするやら。

兄も「このままではいけない」と頭ではわかっています。

2人は手錠でつながれている。
互いに協力してはずさなければ自由にはなれない。
 
でも、なしではやっていけない」

麻薬で意識不明になるに、駆け寄る同僚女性。
人工呼吸する彼女を押しのけて
が息を吹き込み、蘇生を試みる必死な姿。

自分以外の誰にも触れさせない。
彼のことを一番よく理解しているのはこの

「シンクロナイズが大事だよ」
2人で同時に注射し、一つのケーキを半分こ、そして・・・

結合双生児の分離手術器具が並ぶ、恐怖。

彼らはいかにして苦しみを乗り越えることができるのか?

サイコスリラーの傑作です。