主人公はPTSDに苦しむ高校生。
精神病院を退院した彼に、
水泳部のコーチが言う。
あくびするし遅刻するし
楽しくないのか?
精神病院で頭に電気でも通されたか?
かわいそうにな
 

 

 
普通の人々
ロバート・レッドフォード監督1980年
ティモシー・ハットン
ドナルド・サザーランド
メアリ・タイラー・ムーア

 

娘の感想です。
2年前、彼女は自分責めという、
うつ病症状の一つ
苦しんでいました。
 

  あらすじ

退院して学校生活にもどったコンラッド。

浮かれて楽しげな同級生たちが遠くに感じる。

そんな時、

入院先で友達になったカレンと再会。

「楽しいクリスマスを!
生涯最良の年にしましょう。
努力次第よ!元気だして」
笑顔で病気を乗り越えたようにみえる彼女
しかしそうではなかった。
 
 

 

  娘の感想

主人公が口にする言葉のほとんどは

私自身の言葉。

わたしと母と父の姿が
今作と重なって見えて、
とても苦しかった。

私は脳神経の病気(うつ病)
診断されたにもかかわらず、
療養せずそのまま1年を過ごしてしまった。
部活も学校もやめたくない。
やめられない。

しんどくても続けることが

当たり前だと思っていた。

 

授業では

「課題やテストを完璧にこなさなければ」

勝手にプレッシャーをかけ
自分の首を絞めていた。

 

 

春休みが明け、

もう辛くてどうしようもなくなった。

全部やめようと決めた4月。

 

ゆっくり自宅療養しはじめたのは、

つい最近のこと。
病気に向き合うまで

随分と時間が掛かった。

 
この映画の主人公
愛する兄を目の前で失った。
 
毎晩悪夢にうなされ、
ふとした瞬間に
昔の幸せだった記憶が思い出されて
辛くなる。
 
母親との心の距離に悩み、
父親とも上手く話せない。
 
息子を心配する父は
「新しい精神科の先生はどうだ?」
と訊く。

 

息子は

「お金が高くつくから

やめてもいいよ」

と返す。

 
母親と口論になる息子。

自分は悪くないと分かっているのに

「さっきのは本心じゃないよ、
ごめんなさい」
謝ることで、親に忖度をする。

 
心配かけたくないから。

傷つけたくないから。

どうせ分かってもらえないから。

 

主治医が言う。

「許すべきものは他にいる。

自分を責めるのはよせ」

コンラッド
(自分を責めることを)

やめたいよ。

でも難しいんだ

主治医

苦しいだろう。
 その苦しさが

生きているってことだ。
今生きていることを感じとれ。」

 
ついに、事なかれ主義だった
お父さんが主治医を訪ねる。

 

そして

お母さんは息子に抱きしめられ

黙って震え泣く。

 

傷が癒えていないということ。
 
心の傷が癒えるのは簡単なことじゃない。
 
何年もかかる。
 
2時間の映画では
おさまりきれない。
 
現実的に描いた
レッドフォード監督は厳しくて優しい人だなぁ。

 

お互いに歩み寄り始めた一歩が

 

見えるラストシーン

 

 

真っ白な雪が積もった早朝、

 

親子は強く抱き合った。

 
 
ちなみに私のレビュー→こちら