悲しみを理解するヒントをくれた
大切な1本です。
娘のうつ病が悪化した2017年
「悲しい記憶ばかり浮かぶ。
喜びや嬉しい気持ちってどんなだっけ?
感謝の気持ちも思い出せない。なぜ?」
娘が学業と治療の両立が困難になり
感情も生きる希望も失った頃、
救われた作品です。
ピート・ドクター監督が実娘のために制作。
インサイド・ヘッド 2015年
悲しみをどうやって手放せばいいか?
今作は脳内の5つの感情がキャラクターに。
ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカ。
カナシミは人の気持ちを暗くしたり、
落ち込ませるやっかいな存在。
そう誤解され邪魔者扱いされます。
悲しみってなんの役に立ってるの?
ちょうど今、私たちが抱えている疑問
「悲しみって、必要?」
「ネガティブって世間的に悪いイメージ。
いったい何のためにあるの?」
そんなシンプルな疑問に
答えてくれる作品です。
あらすじ
11歳の少女ライリー。両親と引っ越しする。
転校初日、緊張しながら自己紹介をはじめた時
頭の中で事件が起こる。
喜びと悲しみの感情が
パイプに吸い込まれてしまったのだ。
2つの感情を失ったライリー。
残る3つの感情が力をあわせ、
ライリーの生活を支えようとするが・・・。
感想
喜怒哀楽に優劣はない。
記憶から
特別な意味のある思い出が生まれ
性格や人生を作っていく。
人間を人間らしくするのは、
思い出の島たち。
家族の島、友情の島、正直の島、
おふざけの島、趣味の島
忘れられ色あせた思い出は
ゴミ箱へ===
ライリーだけでなく
ママの脳・パパの脳の中も
描写されます。
ママの感情リーダーは青いカナシミ。
なぜ母親の司令塔がカナシミなのか?
最後に理由がわかりました。
ヨロコビ(喜び)は、無邪気で楽しくウキウキ明るい気持ち。
イカリ(怒り)は、やる気!
ここぞというときにがんばるエネルギーにあふれています。
ビビリは、いち早く危険を感じて、私たちを守ってくれます。
ムカムカは、自尊心(プライド)やセンス、
自分の価値を守ってくれます。
じゃあ、カナシミは?
カナシミは、自分の役割がわかりません。
「ライリーの足手まといになる」
と、感じています。
慣れない土地で友達もいない。
けれど、パパやママのために
笑顔でがんばろうとする彼女。
悲しい気持ちを抑え込む。
緊張・不安・寂しさを隠すために
ヨロコビが全力で取り組みます。
次第に、ストレスで感情があふれだします。
あっという間に
思い出の島たちが崩れます。
あっ!
これって、
うちの娘の脳内で
今起きていることだ!!
「楽しかったはずの思い出がなくなった。
思い出そうとしてもダメ」
「愛想笑いばかりしていたから、
心から楽しいと感じなくなった」
娘の言葉と重なる。
「そうだったのかぁ」と、
ハッとしました。
今作は1つ1つの場面に、
医学に基づいた脳神経のメカニズムが
示してあるんだ!
ごみ箱の中に落ちたヨロコビ。
特別な思い出の玉をのぞく。
そこで、初めてカナシミの役割に気づく。
そうだったのか!!
悲しみに反応して
人は絆を深める。
人間の成長に
欠かすことのできない感情。
「あなたが必要なの。」
カナシミという漢字は、悲しみ、哀しみと書く。
けれど、それだけじゃない。
愛しみと書いて
カナシミと読む。
そう、
カナシミなくして愛はない。
悲しみと喜びが手をつなぐことで、
愛が生まれ豊かな人生になる。
ライリーの成長と共に
思い出の玉は、
単色から青と黄色が混じった美しい輝きになる。
ポジティブな感情の方がネガティブな感情より
優れていると誤解していた私たち。
感情に優劣をつけることは
意味のないことでした(^_^;)
どの気持ちも大切。
辛い思い出も、人生の一部。
邪魔者扱いする必要ないんだなぁ。
目からウロコの『インサイドヘッド』
ファンレターのお返事が届きました。
※2018年5月の記事を再UP