福島県の山あいにひっそりと佇む、甲子温泉

 

白河藩主・松平定信にも愛されたと言われる歴史を持ち、古くから湯治場として親しまれてきました。

 

 

 

かつて“秘湯中の秘湯”だった場所

 

甲子温泉大黒屋は、甲子道路(国道289号)を白河方面から南会津方面へ進み、安心坂トンネルを抜けてすぐ左へ曲がり、坂道を下っていった先にあります。

 

出典:Google map

 

現在はアクセスしやすくなっていますが、甲子温泉へ向かう道は、車両の通行が不可能で徒歩でしか通行できないいわゆる「点線国道」や「登山国道」とも呼ばれる道で、険しい山道を越えなければたどり着けない場所だった歴史があります。

 

大黒屋はその車道の行き止まりにある旅館で、まさに“秘湯中の秘湯”と呼ぶにふさわしい存在でした。

 

参考:Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E5%AD%90%E9%81%93%E8%B7%AF

 

 

 

 

清潔感あふれる上品な空間

 

訪れた日はちょうど駐車場の桜が満開で、山の静けさの中にやわらかな華やぎが添えられていました。

 

 

 

 

その景色に迎えられるように車を降りると、すでに非日常の空気が始まっているように感じられます。

 

館内はとても清潔に保たれており、山奥の温泉宿でありながらも立派な施設で、どこか品の良さを感じさせる空気があります。

 

木の香りと静けさの中に、丁寧に整えられた空間が広がり、落ち着いた時間が流れていました。

 

派手さはないものの、上質さとやさしさのある雰囲気が印象的です。

 

 

 

湯小屋へ続く静かな導線

 

湯小屋へ向かう際は、まずは館内の廊下を移動し、長い階段をゆっくりと下っていきます。

 

途中び飾られた花や写真、書の額など、細やかな心遣いが感じられる空間。

 

 

 

 

「ゆっくりしていってくださいね」と語りかけられているような雰囲気です。

 

そして、木に囲まれた階段は、外の世界から少しずつ切り離されていくようで、足を進めるごとに静けさが深まっていきます。

 

 

 

さらに、ドアを開けると、谷底へ向かう階段。

 

 

 

 

そして、やがて視界が開けると、清流にかかる橋が現れます。

 

その橋を渡った先に、湯小屋がひっそりと佇んでいます。

 

 

 

渓流の音を聞きながら橋を渡る時間そのものが、すでに温泉体験の一部のように感じられます。

 

 

 

 

名物・大岩風呂とぬる湯の時間

 

 

湯小屋は谷底の渓流沿いに立っていました。

 

大岩風呂 のある湯小屋の中は薄暗く、天井からランプが下がり、外の渓流の音が響いています。

 

自然の岩盤を湯船にしていて、30人が入ることができるほど非常に広くて、ゆったりとした造りです。

 

大岩風呂の泉温は約43度、泉質は単純温泉で、やわらかく長湯に向いた湯。

 

透明に近い湯の中で、温度の違いを感じながら過ごす時間はとても豊かです。

 

また浴槽内には大きな石「子宝石」が有って、なでると子宝に恵まれるという言い伝えがあり、別名「子宝の湯」と言われ、子宝や安産にご利益があると伝えられています。

 

 

 

大岩風呂の隣には、女湯の「櫻の湯」があります(但し、男性専用時間あり)

 

 

 

ちなみに大岩風呂は混浴で、湯浴み着の着用は禁止されていますが、女性専用時間が設けられています。

(但し、日帰り入浴の時間帯は混浴のみになります)

 

 

ちなみに、恵比寿の湯(内湯)は、約45度のカリウム・ナトリウム硫酸塩泉で、しっかりと身体を温める力強さがあります。

 

 

 

 

 

湯上がりに眺める渓流の風景

 

入浴後は湯小屋へ続く橋の上で足を止めました。

 

眼下を流れるのは阿武隈川の源流。

 

 

 

 

 

澄んだ水音と山の静けさが溶け合い、湯上がりの身体に冷たい空気が心地よく染みていきます。

 

ただ景色を眺めているだけで、時間がゆっくりほどけていくような感覚でした。

 

 

 

甲子温泉 は、単なる温泉ではなく、“山の中で過ごす時間そのもの” が魅力の場所。

 

「一度は訪れたい秘湯」として知られる温泉で、自然に抱かれた静けさと、整えられた上質な空間が共存する、印象的な温泉でした。

 

また季節を変えて訪れたくなる、余韻の残る場所でした。