芳根京子主演他。私は世界に触れる。舞台はそう遠くない未来。17歳で人生に自由を求め、生まれたばかりの息子と別れて放浪生活を送っていたリナ(芳根京子)は19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会い、彼女の下で<ボディワークス>を作るという仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術する仕事であった。エマの弟・天音(岡田将生)はこの技術を発展させ、遂にストップエイジングによる「不老不死」を完成させる。リナはその施術を受けた世界初の女性となり、30歳の身体のまま永遠の人生を生きていくことになるが・・・。「愚行録」「はちみつと遠雷」の石川慶監督最新作。驚愕と不思議。今この時代を生きるために、【人生の軌跡=円弧(Arc)】に思いを馳せるエモーショナル・エンターテインメント。

6/10点!!永遠の命は去る方も残される方も悲しいものだと思う。もし、自分のペットに永遠の命を与えたとして、飼い主を見送り続ける人生は悲しいものだろう。逆もまた然りで、自分に永遠の命があったとしたら、大切な人たちと出会った瞬間に別れを思い、胸が張り裂けそうになるだろう。互いに限りある命ですら、そうなのに。互いに永遠の命があったとして、事故や戦争で突然失われてしまったなら、その喪失感は何百年経っても褪せないものとなるだろうし、人の心はそれに耐えうるほど強くはない。救いがなくなる可能性すらある。それに人は急かされていないとあっという間に怠惰になる生き物だし、人口増加問題や限りある資源問題はどうするのだろう?怠惰で溢れ返り、食べるものすらなくなった世界なんてホラー以外何者でもない。「不老不死」と「自ら死ぬことができる」はセットでなければならないし、それならばアリだと思う。時間をお金で奪い合う「TIME」という映画を思い出した。芳根京子の演技が相変わらず上手くて、他の役者さんも上手い人揃いで、ともすれば安っぽいファンタジーになりうる内容を地に足のついた、ちゃんと考えさせられる作品に仕上げていたのが〇でした。2021年公開。