広瀬すず主演他。ある女が語り始めたひと夏の記憶。その物語には心揺さぶる<嘘>が隠されていた―日本人の母とイギリス人の父を持つニキ(カミラ・アイコ)。大学を中退して作家を目指す彼女は、長崎の戦争を経験した後イギリスへ渡った母の悦子(広瀬すず)の半生を作品にしたいと考える。娘に乞われ、ずっと口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子(吉田羊)。それは、戦後間もない長崎で出会った、佐知子(二階堂ふみ)という女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出だった。だが、ニキは次第にその物語の食い違いに気づき始め・・・。世界を熱狂させた物語は、いよいよ日本へ―。ひとつの<嘘>をめぐる知られざる真実に心震える、感動のヒューマンミステリー。
8/10点!!観終わって、頭の中で整理が必要な作品だった。そのせいで解釈としてはわかるのだが、主人公の気持ちに感情移入し損ねてしまった。それに元々、悦子という女性は何を犠牲にしてでも自分を優先させるキャラクターで感情移入しにくい。誰かに頼らないと生きられない人生は不幸だ。皆がそうやって頼り合い生きることに必死だった時代はそんなことはなかったが、戦後、落ち着いてきて、自分と他人との差、世界と日本の差が見え始め、それに耐えられなくて足掻いていたのが悦子なのだと思う。渡英することすら逃げであることも景子とのやりとりを通して気づいていたはずだから。悦子本人には感情移入しにくかったけれど、自分の親や親という生き物については考えさせられた。辛かったこと、なしにしたかったことをこうやって記憶を変換しながら、自分が壊れないように必死に生きる過程で、最も大切な存在を壊してしまうこともある人生について。景子が生きていたら、悦子は生き方を変えただろうか。親と言えども我が子より自分の人生を優先させたいと思うのは本能?エゴ?そんな親を持つ子どもは親に期待してずっとずっと悩み続けるのだと感じた。景子は諦めてしまったけれど、最後の瞬間まで期待していたかも知れない。これはニキによる悦子の解放物語だが、解放とは苦しみを内包しながら、柔らかく共存し前へ進んでいくことだと私は思う。何度も味わって、年齢を重ねてから見直すとまた違った視点で観れそうな作品だ。2025年公開。


