厳しいがゆえに有り難さを知る | 「ありのまま」でいいんじゃない

厳しいがゆえに有り難さを知る

1/4(日)23日目。前日は駅前の駐輪場にテントを張った。その日最後に立ち寄ったコンビニで「この辺でテント張れるところはありますか」と店員さんに尋ねると、首を斜めにしながら「上宇和駅の近くだったら、もしかしたら」とかえってきた。

 

16時過ぎ夕日を見ながら無人駅の構内にテントを張った。「気分は最高」と思いけや通過列車の爆風にテントが飛ばされそうになる。身の危険を感じて即刻駐輪場へ退散した。ディーゼル車が1時間に上下線1本づつ通り過ぎる。終電は23時前、始電は6過ぎ。短い静寂なひとときは覚えていない。始電が来る前には歩き始めていた。

 

 

 

標高が400mを超えると歩道には雪が残り凍りついていた。転ばぬように歩きやすい柔らかいところを探してザクザクと音を楽しみながら歩いていた。第46番札所までの約100kmの道のりはアップダウンを繰り返しながらいくつか峠超えがある。まるで冷蔵庫の中を歩いているようだった。鳥坂峠は遍路道は通らず、鳥坂隧道1.2kmのトンネルを歩いた。歩道の幅は狭く人一人通れる程度だった。

 

 

 

歩き始めから15kmほどに臥龍の湯があった。足湯につかりながらしばし心身緩めて息を抜く。少しづつ休む余裕が心に生まれ始めている。がむしゃらに歩き、前に先へと進もうとしていた心が洗いながされていく。再び靴の紐を締め直し歩き始める。

 

14時過ぎにはテント泊を予定していた道の駅「内子フレッシュパークからり」に着いた。散策してテントを張れる場所を探す。いいところが見つからず、道の駅が閉まる17時まで待つことにした。お遍路姿は他には見当たらない。雪が残り解けないぶん、ここもそれなりに凍れる。

 

道の駅と隣り合わせ小高いところにある「うどんあぐり亭」で夕食をとる。と言ってもまだ4時前。「ここしかないな」と直感した。早くテントを張り、中に入りたかったが店が閉まるまで待った。駐車場脇のウッドデッキの上にテントが張れた。駐車場には雪が残る。木々の匂い、川と風の音いろ、木のぬくもりも直にゆったり感じた寒い夜だった。 

 

凍りつくような空間に身を置くと耐える力もつくが、ささやかな温まりにも鋭敏にもなる。こんなとき、環境の二面性に気づかされるもの。今まで身を置いた環境の二面性は何だったのか、振り返って考えてみる。

 

厳しいがゆえに有り難さを知る。

 

有り難いことに厳しさがあった。