予想もつかない、それでもやれるか。 | 「ありのまま」でいいんじゃない

予想もつかない、それでもやれるか。

解説編とともに購入した地図編を読み、行程を何度もイメージすることから全体の日数を割り出していった。「どのぐらいかかるのか、そして、どうしたらできるのか」そこから、「自分がすべきこと」を明らかのしていく。

 

何も背負わず、7〜8kmの舗装された少々起伏のある道を歩き始め、裏山の標高260mの山道でアップダウンを積み重ねていった。体が慣れてきてから2kg、4kg、6kgと背負う重さを増していった。遍路はコンクリート舗装路が80%、山道等舗装さていない道が20%の割合。一時間に歩ける距離と自分の「一日歩ける距離」で大まかな日数が決められる。ちなみに私の最速は時速5.5kmだった。

 

5:30起床、6:30出発、16:30終了をベースにした。1日/30km〜35km歩いて35日から40日、時期は12月中旬から1月中旬で結願するとはじいた。この時期は人も少なく混雑もない。「通し打ちの人」と出会うことはほとんどなかった。2月に入ると宿もほとんどが休業に入る。この時期を逃したら無理だなと準備が進む中で感じた。

 

同時に全行程で衣食住も考える。宿泊だけではこの行程は完結できない。必然的にテント泊が必要になり、夏に一人用テントと冬用の寝袋(-25℃対応)を購入した。自宅のウッドデッキで何度もテント泊を体験してから、自宅近辺を20km歩いて川辺でテントを張った。予算の都合上装備は機能性が少し劣り軽量ではない安価なものに。背負う総重量は11kgを超えた。

 

予算は全てで30万円と設定したが下回った。往復の夜行バス2泊、宿泊18泊、テント泊18泊、38日で全行程を納めた。スタンプラリー的な感覚は持ってはいなかった。本堂と大師堂でロウソクに火を灯し、お線香をあげ、お経を唱える。毎日同じことの繰り返しの中から心身がそぎ落とされていく感覚は日常では味わえるものでない。がしかし、準備することの中で自分に嘘はつけなくなっていく。自分に正直になっていく。変なプライドも欲も消え失せていく。「ほんとうにやりたい」にどんどん近づいていく感覚があった。最後はやっぱり苦しくてもやりたいかどうか。

 

あえて情報を抑えた。ネットから引き出せる情報を最小限にしたつもりだ。経験をつまらないものにしたくはなかった。知らないことをどう解決して前に進むのか、そこだ。今まで積み上げてきた経験で試してみたくなるのだが、どうにかなるもの、どうにもならないものもある。雪山で迷い、人に会えて命拾いしたこともあった。人との関わりなしには前に進むことができないことも多い。独り身を自然に委ねるしかないこともある。

 

電車に乗り込み横浜へ向かう途中、師走をいく疲れたサラリーマンらしき姿が目に入る。「もし逆の立場だったら」どう思うだろう。「わざわざそんな苦しいのやるの」「いいな俺も行きたいな」どっちだろうか。知らないことは知りたいから「俺もやりたいな」と思うだろうな。

 

「予想もつかない、それでもやれるか」