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僕の物語

これは僕の日常の話。

 その日もいつも通り彼女と目黒川沿いを歩きながら話していた、冬らしい澄んだ空気の昼下がり気持ち良い青空が木々の間から見えていた。

彼女を映画に誘おうとするといつもこう言うのだった。

「わかったわ、調べておく。」

それは通常、予告を見ておくなどの意味を指しそうだが彼女のそれは違っていた。

「また調べるの?」

「調べるわよ、だって困るじゃない悲しいお話だったら」

そう、彼女の場合はネットの力を用いて結末を調べておくの意味だった。

「映画は悲しいからいいんじゃないか」

「嫌よ、私そんな映画見た日には1週間は
引きずるのよ、わかる?支障を来すの」

彼女と知り合ってからと言うものこの一点張りだった

「そんなもんかねぇ」

「そんなもんなのよ、でも映画は好きよ」

そう、彼女は決して映画を冒涜してるわけでも軽んじてるわけでもなかった、僕もそこそこ自信のある映画というジャンルを対等に話ができる、いや僕以上に知っている作品だって多くあったのだから驚きだ。

「君のそれはビールに苦味がなくていいと言っているように聞こえるんだ」

「なくていいのよ、ビールは苦味じゃない、のどごしが大事なの」

僕は一本とられて足を止めたが彼女はスタスタ歩みを止めなかった、僕は急ぎ目に歩いて追いかけた

「悲しいことや、怖いこと、それは楽しい作品と同じくらい1つの要素でしかないんだよ?」

彼女はおや?っとした顔でこちら振り返ったが歩みは止めない

「全てはフェイクなんだよ、でも不思議と映画が終わると心に残るもの、残らないものがある、それはフェイクじゃない。僕が本当に感じたもの。」

彼女は黙って聞いていたが急に立ち止まりこちらを振り返った。僕も驚き立ち止まった。
彼女は悔しそうな表情をしてゆっくり口がひらいた。

「わかったわよ、調べておく!」

「?」

「映画を見る人間についての心理よ!」

「そっち!?」

くるっと踵を返して彼女はまた歩き出した。あわてて追いかける僕。
 さて次はどんな作品を彼女と見ようか。