ゴミ捨てーション戦記1 | BOOGIEなイーブニング!

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をつけて読んで欲しい。

 

これから先は、グロいのとかダメな人は立ち入ってはいけない世界だ。

 

そういうのがダメな人は今すぐにターン∀して、もといた平和な世界に戻ってくれ。

 

じゃあ、始まるよ。

 

家でゴミ当番だった。

とは言っても簡単な作業さ。1週間の間、月曜日と木曜日は燃えるゴミにブルーのネットをかける。火曜日は缶の袋と瓶の袋、そしてペットボトルを入れる緑のメッシュの袋をゴミステーションに出す。それだけ。それが町内会の班で順番に回ってくる。一世帯1週間だからその班が20世帯だと20週に1回。朝5時ごろ起きて、しょんべんついでにパジャマのまんまゴミステーションに行き、ゴミ袋にかけるネットをセットして、帰ってくるだけ。山盛りに溜まったゴミは830分にゴミ処理車が来てゴミを回収してくれる。残った青いネットを持ち帰るのだけは、パーキンソン病のオカンに頼んである。そう、あの事件までは、大したことのない作業だった。

 

あぁ、思い出すだけで震えが止まらない。

 

木曜日の朝、俺はいつものように朝の5時にゴミネットを出し、一番最初に自分の家のゴミをネットにかけて家に戻り、7時まで二度寝してから支度をして8時に仕事に出かけた。その日の夜は仕事も混んでなく、さほど深夜にならずに帰って来たのだが、ゴミステーションの前を通ると、時間外にゴミを出した者がいたらしく、そのゴミ袋がポツンと一つはぐれメタルのように置いてあった。

 

だけど、誰か近所のこころ優しい人が、ペットボトル用の緑色のメッシュの袋を上からかけて、カラスの対策をしてくれたんだろう。はぐれメタルがスライムベス程度にはなっていた。

 

前週はゴミ当番ではなかったが、これで2週も連続でルールを無視してゴミを置いているヤツがいる。俺の住んでいるこの辺りは最近になって畑を宅地にしたので、余所者がルールを分からずにゴミを出しているのか、はたまたチャイニーズか。とにかく木曜日の時間外に出されたゴミは翌週の月曜日、830分まで4日間も放置されることになる。

 

ゴミ当番としては許し難き案件ではあるが、たまたま2週連続でゴミを出すタイミングが遅れちゃったのか。それに木曜日のゴミ出しが終われば、ウチのゴミ当番は隣りの家にバトンタッチである。日曜日に隣りの武田さんにゴミ当番が行けば、もう20週は俺に関係のないことなのだ。

そう思って俺はゴミステーションの前を通り過ぎた。当たり前だが金曜日の朝も夜もゴミ袋は緑のネットをかぶり、そこに放置されていた。

 

土曜日の昼、仕事も休みなので、ゆっくりと起きた。ちなみに昨夜は呑みすぎたために、いつもの熱いシャワーも浴びずに上は昨日着ていたTシャツ、下だけパジャマのズボンという出で立ち。しかも、特筆すべきは酔っ払って履いたパジャマのズボンは後ろと前が逆である。

 

チンポジの位置の収まりは悪いのに、お尻まわりはダブダブなのである。そしてズボン両脇のポケットはお尻側に向いているので、ズボンのポケットに手を入れようとすると手首を少し逆にひねる感じだ。だが、俺はパジャマにそういう頓着は一切ないので、着るのが裏返しならそのまんま裏返しで着て寝るし、履くズボンが後ろ前ならそのまんま後ろ前で履いちゃうのだ。なーに、酔っ払って寝ちまえばそんなもん気になんねーよ、漢が細かいこと言ってると関羽や張飛みたいな豪傑にはなれねーぞ。

 

んで、そのカッコのまんま、俺は新聞を外のポストに取りに行った。外ではウチのオカンと隣りの家の武田のオバちゃんが井戸端会議をしている。武田のオバちゃんは、俺と真反対の生活リズムなのでなかなか見かけないレアキャラだから、そうだ!もう土曜日だし、ゴミ当番の袋を渡しちゃおうと思った。

 

ごそごそとゴミ当番セットを持ってきて、武田のオバちゃんの玄関先にすーっと置こうとすると、井戸端会議に夢中なはずのウチのオカンが「あら、その袋渡すのは明日の日曜日よ」と余計な事を言うのだが、武田のオバちゃんは「いいわよいいわよ、貰っておくわ」と言って受け取ってくれた。そして、声をひそめてこう切り出した。「あそこに放置してあるゴミ、誰のだろうね。なんか付けまつ毛とか入ってるみたいだから若い女性のゴミ袋かもね

 

好奇心しか持ち合わせていない武田のオバちゃんとウチのオカンの噛み合わない元警視庁捜査1課長 田宮榮一 ばりの犯人プロファイルがここから始まった。

 

・犯人は10代〜20代、30代〜40代、50代より上の世代の女性、もしくは女性の住む家の男性の女装趣味の可能性もある

 

・日本人または中国人、アジア全域、または欧米人の可能性もある

 

・この班以外の人間か、もしくは、この班の新しい住民

 

そんなあてのない推理をしているのを横目に、俺は自分の家の車庫の車のタイヤ止めの位置を修正していた。

 

すると突然、武田のオバちゃんに「ハッちゃん、ゴミ袋の中身を調べにいこうよ!」と誘われた。さらに向かいの田代さんまで誘うという。ご近所トラブルが多いこのご時世、なるべく証人が多い方がいいという武田のオバちゃんの魂胆だ。

 

あっという間に、この近所の泣く子も黙る精鋭部隊が出来上がった。ちなみにこの精鋭部隊は20年前にストーカー男疑惑事件を解決したメンバーである。そん時も俺は鉄砲玉をやらされ、ストーカー男に正面から職務質問をするという一歩間違えれば命すら危ないミッションをこの精鋭部隊から、命令されたのだ。

 

それでは精鋭4人を紹介しよう

 

・武田のオバちゃん70代後半)

この精鋭部隊のリーダー。

ハッチ家の隣に住む、攻撃的指揮官。好奇心の塊。

 

・ハッチ40代後半)

言わずと知れた特攻部員。

家の周りに3人も警官が住んでいるのにいつも危ない特命を受ける。

 

・ウチのオカン80代前半)

パーキンソン病なので身動きがほぼ取れないがチームを上手く纏めるサブリーダー。ニシナラ四天王と呼ばれるこの辺りのボスに通じているので、敵に回すとかなりヤバい。

 

・田代さん70代後半)

ハッチのはす向かいに住む上品なおばさま。家がゴミステーションに近いので、ゴミ当番じゃない日もゴミを見守っている。ゴミ出し管理のエキスパート。

 

そんな4人が一列に並び、いざ、ゴミステーションに歩いてゆく。

 

つづく