立ち退き銀座日記#7 | BOOGIEなイーブニング!

BOOGIEなイーブニング!

ベースの下手なベーシスト、ハッチのゆるーいブログです!

立ち退き銀座日記#1から読む

っ越しのスケジュールも決まったので、僕は暇な時に段ボールにガンガン荷物を梱包してゆく。こうして早め早めに準備をしていったので、僕の机や荷物はキレイになった。その数、段ボール8箱分。
いよいよ、明日は引っ越しだ。

昨日は新しい不動産屋と契約の行き違いがあって僕は激怒した。味噌ラーメン先輩が探してきた物件なのだが、最初にもらった書類に、礼金0円と明記していたのに、今更になって、礼金は家賃の1カ月分です。書き間違えました、さーせん。と、不動産屋は言ってきたのだ。
書き間違えでした。で、済むならチラシなんて要らねーよ!
それでも、引っ越しを前々日に控えた社長は弱気である。何なら1カ月分を払おうとしている。

バカじゃないの?

そこで僕はキレたのだ。
本当は不動産屋にではない、
情けない弱気な社長にだ。

結局、礼金は0のままで、敷金を1カ月分プラス支払うことになった。釈然としないが、敷金は戻ってくるものだし、社長が納得するなら仕方が無いか。

そんな前々日だった。
もう一度言おう。
いよいよ、明日は引っ越しだ。

最終最後に仕事がわんさか来てしまい、僕はあまり作業を手伝えない。後ろで社長が味噌ラーメン先輩にマジギレしている。梱包の手際の悪さとゴミ処理の仕方だ。先輩は要らなくなったチラシや原稿を一枚一枚手でちぎってからゴミ袋に入れていた。社長はそれを見て「んなもんガバーッと捨てないと終わらんぞ!」とまくし立てた。

正論である。

そんな時、NTTから1本の電話がきた。女性オペレータは先輩をご指名だ。

先輩「…水曜日?!それは困ります。何とかなりませんか?」

先輩「じゃあ、火曜日で。」

恐らくこの電話の内容は電話工事の日程である。だとすると月曜日は丸ごと電話が使えないことになる。

バカじゃないの?

電話が使えない=ネットやメール、FAXも使えないではないか!

会社的には緊急事態だろ。

そもそも、社長は3週間前に引っ越しの日程が決まった時点で、先輩に電話の移転手続きを命令していた。かなり、早くから動いていたはずだ。しかし、先輩は女性オペレータに光通信に勧誘されて、勝手にアナログ回線から光回線への手続きをしちゃったのだ。移転手続きだけを任されていたのに、勝手に光回線に変えることに激怒した社長は「値段なんか安くなるとか関係ねぇ!ウチはアナログ回線で移転する!」と言って先輩の提案を却下した。それが、2週間前だった。そして、キャンセルしようとNTTオペレータに電話した先輩は、また、彼女に光回線の魅力を説得され、今度は本契約してしまった。そして、引っ越し3日前に正式に契約書が来て「この書類にハンコをお願いします」と言う先輩に社長は再び却下した。「じゃあ、そんなに勧めるなら、キミが支払ってくれよ」とまで言うほど怒っていた。

先輩は生粋の田舎モノである。
大分の耶馬溪出身の彼は、飛び込みセールスマンや電話勧誘にノーと言えないのだ。かといって彼に決定権は無い。いつも、僕や社長がその尻拭いをさせられるのだ。
まぁ、いい。

僕はこの、我が社の緊急事態を社長にそれとなく先輩に確認するように伝えた。社長は先輩に「電話の工事は明日大丈夫だな?」と、それとなくではない直球で聞いていた。

先輩「それが、あの、火曜日になりまして…」

社長「か、火曜日?!じゃあ、月曜日は?」

先輩「通信は全て不通になります」

社長「バカか?」

先輩「だって、社長が任せるって言ったじゃないですか!」

社長は衝撃のあまり思考回路が停止した。ここに来て責任をなすり付けられるとは考えてもみなかったのだ。口を開けてフリーズ状態である。

ここで僕が割って入る。

僕「とにかく、入稿が出来ないじゃないですか!何とか明日には開通させてくださいよ!」

先輩の異次元殺法のような責任転嫁を終わらせ、すぐにNTTに電話をさせた。

月曜日は今いるビルにまだ電話回線は繋がっているそうだ。

もう、日割りで大家に電気代や家賃を今日付けで支払っているのだ。月曜日にこのビルには居られない。土曜日、日曜日、月曜日の3日間分の家賃をまた支払わなければならなくなった。更に僕は月曜日には引っ越しが終わったガラーンとした元の事務所からメールで入稿するために、一人で段ボール箱の上にパソコンを置いて作業するハメになりそうだ。


そんな引越しってあるのか?


つづく