1/7記事「関東三十六不動霊場巡礼(その3) 第21番札所「薬研堀不動院」第22番札所「寿不動院」」の続きです。

 

第24番札所「正法院(飛不動)」

 正法院は、地下鉄日比谷線三ノ輪駅から南に徒歩10分のところにある天台宗の寺院です。創建は戦国時代の1530年、開山は天台宗系の修験者である正山上人、本尊は飛不動明王(秘仏)です。

 

 ちなみに、飛不動から徒歩数分のところに吉原のソープランド街がありますが、最近ではスマホで家族と位置情報の共有なんかをやっているものだから、飛不動の参拝前に「お父さんは、吉原近くのお寺にお参りするのであって、決してソープランドに行くわけではないのよ」という、予防線メッセージを家族に送ることになりました(嫌な時代だぜ…)。

 

 

 参道には、「飛」不動ゆえに「FLYING GOD TEMPLE」という立て札があります。空飛ぶ神の寺院…。なるほど。外国人に親切な説明だ…と思いつつも、GODの翻訳は「唯一神」とか「創造主」であるとかで仏教の神々とは根本的に異なる…などといった議論があります。英語ネイティブの方々は、どういう印象を持つのか興味深いところです。

 

 飛不動は、その名のとおり、空を飛ぶ不動明王です。創建から間もなく、住職であった正山上人が本尊の不動明王像をかついで奈良の大峰山に修行に行った際、信者たちが不在となっている本尊にお祈りをしたところ、大峰山にいた本尊が飛んで帰ってきて信者たちの願いを叶えた…というエピソードが由来となっています。

 空を飛ぶ不動明王ということで、飛行機のパイロットや客室乗務員の厚い尊崇を集めているようで、飛行機を利用する旅行者も対象とした「飛行護」を授与しています。また、飛不動は、「落ちない」ということから、受験生にもご利益があるのだそうです。

 近年の面白エピソードとしては、2003年に打ち上げられたJAXAの小惑星探査機「はやぶさ」の通信が途絶えた時、プロジェクトリーダーであった川口淳一郎教授が飛不動尊を参拝して「無事帰還、大願成就」を祈願した結果、通信が復旧して帰還に成功した…というものがあります。飛不動が宇宙まで飛んで行って修理したんですね(さすがだぜ)。

 

 こちら本堂内のお不動様です。飛不動は空を飛ぶこともあってか酉年のみ公開の秘仏ですので、御前立(秘仏の前に身代りとして公開される仏像)が公開されています。超合金のヒーローみたいでかっこいい。「宇宙も余裕だぜ!!」とおっしゃっておられるように見えます。

 今回は、本堂に入れなかったので、本堂前にて周囲の迷惑にならないよう気をつけながら読経させていただきました。

 南無大聖飛不動明王。合掌

 

 なお、飛不動については昔からその存在を知っていました。それは上のリンク先にある飛不動のホームページにある「やさしい仏教入門」が私の仏教学習にとって大変参考になっていたからです。仏教用語をググった時、飛不動のホームページが表示されることが結構あります。飛不動の御住職並びに関係者のみなさま、良きお仕事、本当にありがとうございます。

 

 

 関東三十六不動霊場巡礼(その5)に続きます。