西国三十三所観音霊場巡礼(その1)」の続きです。

 

第17番札所「六波羅蜜寺」

 京阪清水五条駅から東に10分歩いたところにあります。こちらは有名寺院ですね。私は今回で3回目の参拝となります。寺名を聞いたことなくとも、この寺院が保有する文化財については、誰もがどこかで一度は見たことがあるのではと思います。

 

 そのうちの一つがこちら、空也聖人像です。最近ではテレビCMで流れていました。なんだか干し柿を食ってるようにしか見えないんですが、上人が発する念仏「南無阿弥陀仏」の六文字の一文字一文字が阿弥陀如来になっていることを表現しているのだそうです。

 空也上人像は、六波羅蜜寺内にある宝物館「令和館」で展示されています。宝物館は重要文化財の目白押しで、有名な平清盛像なども展示されています。令和館は有料ですが、その名のとおり令和になってから建築されたものであり、清潔かつ近代的な造りで、入場料金600円が格安と思えるクオリティです。是非皆さんにも見てもらいたい。

 

 六波羅蜜寺は真言宗智山派のお寺で、本尊は十一面観音、開山は空也上人です。江戸時代までは大伽藍だったそうですが、明治時代の廃仏毀釈によって寺域がかなり縮小されたそうです。これだけの寺宝がある割に寺域がコンパクトであることを少し不自然に感じていましたが納得です。

 

 こちらのご本尊がまた凄いです。国宝で秘仏です。12年に1度(辰年)に御開帳されることになっています。わたくし奈良も、十一面観音菩薩を信仰していますので、こちらの本尊を是非ともお目にしたいと思っていますが…、今年も11月の京都訪問は厳しそうです。死ぬまでに一度は拝観できるでしょうか。

 

 十一面観音菩薩が本尊だから、歓喜天尊もおられるのでは…とチェックしたところ、やはりおられました。ホームページとかに全然書かれていない…。そして、聖天堂の近くにも行けないようになっています。仕方ないので遠目にご挨拶。

 歓喜天尊はこういう扱いを受けていることが多いですね。参拝者から遠ざけられて表に出ることなく寺を護っているような…。

 

 コンパクトな寺域内に国宝・重要文化財の諸尊がぎっしり、そして、長い歴史の中で数多の人たちによって拝まれてきた古仏たちの存在によって、寺内の空気が普通の寺と明らかに異なる…。六波羅蜜寺は京都有数のパワースポットではないでしょうか。

 

第15番札所「今熊野観音寺」

 京阪電車の東福寺駅から東に徒歩20分程度のところに所在しています。先月の記事で紹介した「泉涌寺」の塔頭寺院となります。塔頭寺院とは大きな寺院の敷地内にある独立寺院のことを言いますが、その割には境内が広く立派です。こちらは初参拝となります。正直なところ、存在すら知りませんでした…。

 

 今熊野観音寺は、真言宗泉涌寺派の寺院で、開山は弘法大師空海です。空海がこの地で熊野権現(和歌山の熊野三山の神様)と出会い、天照大神作の十一面観音菩薩像を譲り受けて「この地で衆生を救済するように」と言われ、創建されたと伝わります。

 それにしても偉いお坊さんたちは神仏からのお告げを受けますね。そのような伝説の存在が長命の寺院を支える原動力になってるのでしょう。いやいや、本当に熊野権現のご加護が続いているのでしょう(そうに違いない)。

 

©四国十五番霊場今熊野観音寺HP  https://www.kannon.jp/keidai-garan#ttl-navi04

 

 ご本尊の十一面観音菩薩は秘仏ですが、代わりに同じ姿の御前立(おまえだち・別に用意する礼拝専用の仏像)を遠目ですが拝観できます。写真のとおり素晴らしい十一面観音菩薩です。とにかくもっと近くで見たい。また、本尊は、空海が熊野権現から譲り受けた一寸八分の観音菩薩像を体内仏として作製したとのこと。これもまた有難い話です。

 ちなみに、十一面観音菩薩がご本尊ということは…やはり歓喜天尊もおられました。合掌。

 

 ちなみに、今熊野観音寺といえば、ぼけ防止・頭痛平癒で有名なのだそうです。激しい頭痛持ちだった後白河法皇が今熊野観音に頭痛平癒のご祈願した結果、治癒したと伝わります。私の周囲にも頭痛持ちの人は多いし、これは覚えておこう…。

 

 京都市内に所在し、しかも洛中から遠くないところに、これほど自然豊かで環境の良いところがあったとは知りませんでした。おススメの寺院をまた新たにゲットできました。良縁に感謝したいと思います。こちらの十一面観音菩薩はすごく良いですね。改めて参拝の機会を作りたいと思います。

 

西国三十三所観音霊場巡礼(その3)」に続きます。