先月の帰省時に西国三十三所観音霊場巡礼に行ってきました。こちらの巡礼は毎年の帰省時に少しずつ進めるという方針です。

 

 昔、京都市内に10年近く住んでいたので、有名寺院の多くは参拝済みですが、巡礼を始めることによって再参拝のきっかけが与えられたのは有難いことだと思っています。昔と比べると仏教の知識も格段に増えていますので、見方も大きく変わって新しい発見も期待できるでしょう。

 

第19番札所「行願寺革堂」

 京阪電車「神宮丸太町」から徒歩7分、寺町通にある行願寺です。革堂(こうどう)という愛称で呼ばれています。この辺りは仕事の営業ルートでしたので頻繁に通っており、当時の私にとって、革堂はほとんど「景色」の一部でしたが、今回は巡礼先として特別な意識を向けて入ることになりました。ご縁ですね。

 

 革堂は、天台宗の寺院で、本尊は千手観音です。革堂という寺名は、開基の行円上人が雌鹿の皮をいつも身につけていたことが由来です。行円上人は、狩猟を生業としていた若い頃、射止めた女鹿の腹から小鹿が生まれてくるのを見て、殺生の非を理解して仏門に入ったと伝わります。仏門への道は人それぞれです。

 

 境内にある寿老人堂です。寿老人単体のお堂って珍しいと思って調べてみたんですけど、そもそも、寿老人は仏教に全く関係のない中国の伝説上の人物だったんですね。七福神についてはあまり詳しくなく、道教色が強いよな…というイメージだけがありましたが、このお堂のおかげで色々調べるきっかけとなりました。

 

 実は、革堂は、西国三十三所観音霊場の中で唯一の尼寺です。今回、本堂に入ったら女性だけしかいなかったのが印象的です。 

 女性に開かれた有名寺院というのは貴重ですね。男女平等の現代ではありますが、同性にしか打ち明けられないような悩み・苦しみを受け入れいてくれる尼寺がもっとあった方が良いと思っています。

 

第18番札所「頂法寺六角堂」

 京都市営地下鉄「烏丸御池」駅から徒歩3分程度のところにある頂法寺です。「六角堂」の愛称で呼ばれます。観光地の中心となる河原町四条や祇園の地域から少し離れた立地にありますが、親鸞聖人が決定的な夢告を受けたとされるお寺であり、また、住職が日本の華道家元「池坊」の家元を務めていることから、宗教的にも日本文化的にも相当な重要な寺院とされており、知名度は全国区です。

 

 六角堂の宗派は天台宗で、本尊は如意輪観音です。開基は聖徳太子と伝わります。聖徳太子が四天王寺建立のための木材を求めてこの地を訪れた際、念持仏(ハンディタイプの仏像)の如意輪観音が、光をはなって「この地にとどまり衆生を救済したい」と言ったことが六角堂建設につながった…と、伝わります。

 また、若き日の悩み多き親鸞聖人が、六角堂参籠中に聖徳太子からのお告げを受け、法然上人に会いに行くことになったというエピソードがあり、浄土真宗の門徒にとっても非常な重要な寺院となっています。

 

 六角堂は参拝する度に何かお告げを与えてくれないかなとか期待してしまいます。親鸞聖人は、聖徳太子から法然上人との出会いへの導きのお告げを受けたほか、観音菩薩から「仏道修行者が戒律を破って女性と性行為を行っても、私(観音菩薩)が女性となってそれを受けよう」という旨の、それまでの仏教の常識をぶっ壊す物凄いお告げを受けていたりします。

 いや、本当に物凄いお告げで…。

 

 今後、「仏教と肉食」「仏教と飲酒」に続いて「仏教と性」の記事を作成しようか検討中です。

 

 

西国三十三所観音霊場巡礼(その2)に続きます。