大阪の実家に帰省中、京都祇園にある「亀屋清永」に行ってきました。1617年創業の老舗和菓子店です。

 

 購入したのは、こちらの「清浄歓喜団」です。1個(1箱)702円で、「歓喜団」(かんぎだん)とか「お団」と呼ばれます。

 

 現物はこんなかんじです。初見の人は、大抵、「!?」という表情をします。

 

 歓喜団の歴史は古く、奈良時代の遣唐使によって伝えられてから、これまで、真言宗や天台宗などの密教宗派において重要なお供え物とされています。亀屋清永が作る歓喜団については、延暦寺の阿闍梨(高徳の僧)から製法を伝授されたとのことで、職人さんたちは精進潔斎(身を清めること)した上で作っているそうです。

 

 歓喜団の原材料として、小豆餡、砂糖、米粉、小麦粉、胡麻油、桂皮末香料…とありますが、この中の「香料」こそが重要で、七種類の香をブレンドしているとのこと。仏教における香は場を浄めるという意味があるのですが、たくさんの香が練りこまれる歓喜団は「浄められたお菓子」ということなのでしょう。

 

 さて、この歓喜団は、名前から分かると思いますが、前回の記事「生駒聖天・宝山寺」で説明した歓喜天へのお供え物となります。上の写真は宝山寺にある賽銭箱ですが、巾着の形をしています。実は、巾着は歓喜天のシンボルであり、それが由来して歓喜団も巾着の形をしています。

 宝山寺を始め、歓喜天を祀る寺院に行くと歓喜団がお供えされているのをよく見かけます。

 

 さて、外側をちぎって見てみると、写真とおり餡がたっぷりと詰まっています。そして、味はといえば、妻いわく「寺の味がする…」とのこと。「お前、寺を食ったことあんのかよ…」とか思いますが、たくさんの香が含まれているので、言わんとしていることは分かります。

 私としては、これまで10年以上歓喜団を食べていますので、もはや病みつきになっていて、すごく美味しく感じます。ひょっとしたら、歓喜天を長年拝んでいるので、味覚が歓喜天風に変わってきたのかもしれません。

 

 今回は2箱購入しましたので、1箱は、日常的にお世話になっているお寺の歓喜天尊にお供えさせてもらいました。

 南無大聖歓喜天。合掌。