先週1/9から1週間ほど、大阪の実家に帰省していました。

 実家滞在中のうち2日間は予定もなく、完全フリーでしたので、まずは、仏教者としての私にとって、最も大切な寺院である奈良県生駒市にある宝山寺を参拝してきました。

 

 私が宝山寺を最も大切にしていることについては、きっかけがあります。

 20年ほど前、ある資格試験に挑んだところ不合格となり、1年間の無職が決定となります。茫然自失となった私は、いたたまれずにバイクをあてもなく走らせたのですが、その結果、奇しくもこの宝山寺にたどり着き、そのまま何に祈っているのか分からないまま、来年の試験でのリベンジを祈願します。

 そして、翌年、念願のリベンジに成功して試験に合格し、そのお礼参りとして再度参拝した際、強く感じ入るところがあり、現在でも帰省時には必ず参拝するようにしているのです。

 

 このあたりの「信仰」については、また別の機会にお話しするとして、今回は、この宝山寺について紹介をしたいと思います。

 

生駒山 宝山寺(生駒聖天)

 

 生駒山宝山寺は、真言律宗の寺院であり、本尊は不動明王、鎮守神として聖天を祀ります。関西では、「生駒の聖天さん」と呼ばれて尊崇を集めています。

 

 右側の建物が不動明王を祀る本堂であり、左側の建物は聖天を祀る聖天堂となります。

 

 宝山寺では、別称が生駒聖天であるように、本尊の不動明王よりも鎮守神である聖天が有名です。埼玉熊谷の妻沼聖天、東京浅草の待乳山聖天と並び、日本三大聖天の一として数えられます。

 

 聖天とは、仏教を保護する神「天部」であり、聖天のほか歓喜天(かんぎてん)と呼ばれ、ヒンズー教のガネーシャと同一とされます。現世利益の願いを叶えてくれると言われ、生駒聖天は、特に商都大阪の商売人から厚い信仰を集めます。

 

 私もこれまで本当に多くの寺院を参拝してきましたけど、この宝山寺は極めて特殊な寺院であると思います。

 上の写真は、2022年8月1日(縁日)に撮影したのですが、この時、夜中の0時30分ころです。歓喜天は「夜型」という説もあって、夜中でも参拝が絶えないのです。そして、不思議なことに参拝者には若い人が非常に多い。

 また、宝山寺は、特に水商売を経営する大阪の商売人からの信仰が厚いとも言われ、水商売風のお姉さんたちが集まることも特徴です。水商売というトラブルが多そうな商売において、人間関係を良好にする「縁」を与えてくれる歓喜天にすがるということなのかもしれません。

 興味のある方は、縁日である毎月1日の0時ころに参拝してみてはどうでしょうか。これまでに見たことのない光景を目にすることができるかもしれません。

 

 ちなみに、こちらの写真は縁日ではない平日の22時ころの宝山寺寺内です。参拝客は見られませんが聖天堂は開放されていて入堂可能です。人の気配のないところで静かにお祈りができます。寺内は、不動明王と歓喜天のほか、十一面観音菩薩、文殊菩薩、弥勒菩薩、地蔵菩薩、烏枢沙摩明王、荒天、大黒天、毘沙門天、弁財天…と様々な神仏が祀られており、その中でただ一人でのお祈りという、本当にこの上のない贅沢な時間を過ごすことができます。個人的には、日本最大のパワースポットであると思います(いや、やはり高野山の奥の院が最強か…)。

 

 宝山寺の夜間参拝は、とにかく幻想的で、まるでこの世ではないような雰囲気があります。そして、「日常に埋没する自分を取り戻す」。宝山寺にはそのような力が備わっているように思えます。

 

 次回「宝山寺・生駒聖天(その2)」に続きます。