【読書】野上大樹「ソコレの最終便」 | いつもだいたいむかいかぜ

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 走ればだいたい向かい風、止まっていても、逆に行ってもだいたい向かい風。

 そんなオヤジ顔のツーリングだったり、ローカル線だったり、散歩だったり、車に乗ったり、ゲレンデ滑ったり、本を読んだり、映画見に行ったり、

 そんなオヤジの徒然日常備忘録。

 

 

 終戦日直前を描いた戦争小説は多々ある。
 なぜ、もっと早く終戦にならなかったのか。
 そのタイミングで起こる悲劇が、世界各地で起きたはずだ。

 本作の舞台は満州。
 陸軍列車第四連隊の朝倉は、満州のあるものを日本に輸送するように関東軍から指令を受ける。
 それは、戦艦大和の主砲を凌駕する装甲列車、通称ソコレだった。
 昭和二十年、8月9日、列車連隊は牡丹江を出発し、8月16日のリミットを目指してソコレ九十四式の回収へ向かう。
 しかし、時同じくしてソ連が日ソ不可侵条約を破棄して満州に押し寄せていた。
 虎口でソコレを回収、鉄道橋爆破により大回りで哈爾賓、新京を経由し大連を目指す。
 その途中途中で彼らが遭遇したのは、日本人の死体の山と、押し寄せるソ連兵だった。

 終戦末期の満州を舞台にしたロードムービーともいえる戦争小説。
 多くの犠牲を払った彼らの努力は、すべて無意味だったのか。