銀輪の轍〜石見DNSロングライド〜 | いつもだいたいむかいかぜ

いつもだいたいむかいかぜ

 走ればだいたい向かい風、止まっていても、逆に行ってもだいたい向かい風。

 そんなオヤジ顔のツーリングだったり、ローカル線だったり、散歩だったり、車に乗ったり、ゲレンデ滑ったり、本を読んだり、映画見に行ったり、

 そんなオヤジの徒然日常備忘録。

 

 ひと区切りをつけた気分だ。

 学生時代からライフワークとして自転車で百名瀑、日本の滝百選を訪れる。

 その目標はだいぶ昔に終わらせた。

 

 はずなのだ。

 

 実は日本の滝百選は、101選である。

 なぜか。

 それは、島根県雲南市の「竜頭八重滝」が、実は全然別の場所にある2つの滝が1つとして登録されているのだ。

 竜頭が滝と、八重滝。

 ツーリングマップルには八重滝が「竜頭八重滝(百名瀑)」として記載されていて、そこへは2007年の春合宿プレで訪れた。

 そのあとで、竜頭が滝の存在を知ったのだ。

 

 百名瀑は全て訪れた。

 しかし、喉に引っかかった骨のような存在として、竜頭が滝が残り続けた。

 それも本日で終了だ。

 それでも自転車滝巡りの旅は、一生かけたライフワークとして続いていく。

動機

 3月のインド行きでキャンセルせざるを得なかったロングライドイベントの反動で申し込んだイベントである。

 キャンセルしたのが尾道から出雲へのロングライドだった。

 今度は出雲周辺を走り回るロングライドもありかと、スポーツエントリーで見つけた石見グランフォンドに申し込んだ。

 200kmコースもあったが、距離にチキって150kmを選ぶ。

 日曜日開催で、翌日を年休にして山陰を走ろう。

 山陰はあまり走ったことないし。

 

 で、前日はなんちゃって百名瀑の竜頭が滝へ行ってみよう。

 翌日は海岸線をひたすら走ろうか。

 行きは出雲空港、帰りは萩石見空港で。

 

見聞録一日目:5月11日(土)

 

 朝4時前に起きる。

 睡眠時間3時間未満でクソねむ状態。

 

 さて、前日までの天気予報で石見グランフォンド当日の降水確率90%が変わらない。

 おじさん近頃、雨の中を走ると翌日に熱でちゃうから仕方ないね。

 前夜の時点でDNSする気でブロックタイヤをチョイス。

 

 4時半に家を出て、5時半過ぎに羽田空港に着いてチャリンコを預けて、さてどこで朝めし食べようかと探してみると、6時前には吉野家すらやってねぇ。

 自販機でパンを買って搭乗口のベンチでジャワティー飲みつつモソモソ食べる。

 

夜明け前の東京、俺んちの前から

 

 7時過ぎのフライトで、8時半に出雲空港に着いた。

 寝てたらあっという間。

 チャリンコ組み立て、朝飯食べる。

 朝からのどぐろ定食いただきます(それと割子そば)。

 

出雲空港なう

 

(ちょっとコンビニ行ってくる)

 

朝からのどぐろ割子そば

 

 出雲空港から南下する。

 今日の天気はピーカン晴れにて、レージャー一枚で十二分に暑い。

 雲南のアップダウンを繰り返し、県道を曲がり、林道を曲がりをするうちに竜頭の滝の看板が出てきた。

 

木次の道の駅でパスチャライズなソフトクリーム

 

 チャリンコを駐車場に置いて、小川の道を歩いていくと、しょぼい滝が現れるが、これは雌滝。

 疑惑の百選は更に登る。

 

遊歩道に飛び出して来た蛇、ちゃぷんと川に飛び込みクネクネ泳いでいった

 

 滝音が近づくに連れて視界に入った白布に思わずニンマリしてしまった。

 白い帯を落とすさまは浄蓮の滝に似ている。

 滝壺は広く、浜のようで子どもたちが水切りして遊んでいる。

 そして、この滝は裏見ができるのも特徴だ。

 斜めに切れ込みが入った岩から、滝を通して滝壺の浜辺が見える。

 

竜頭の滝と俺氏

 

滝は裏見ができる

 

 う〜ん、これは百名瀑認定。

 次に、竜頭八重滝と1つに括られた八重滝と比べてどちらが百名瀑にふさわしいか、僭越ながら鑑定させていただきます。

 

 山陰は標高低いが、川の流れが入り組んでいるからアップダウンが多い。

 結構頑張って峠を越え、国道に戻ったらいったん下る。

 またこの下りを戻ってくると思うとめんどくさいほど快適にシャーッと下る。

 そして、とても控えめな八重滝の標識で曲がっていくと、駐車場があり、そこからスタート。

 17年前に来たはずだけれど、全く記憶にございません。

 

こちらは日本の滝百選を自認している八重滝

 

 主瀑の八塩滝までの小さな滝には興味がない。

 入口から八塩滝まで1000mとあって身構えたが、思ったよりも時間はかからず八塩滝が見えてきた。

 こちらは段瀑。

 あえて言うなら、袋田の滝の3段目と4段目を切り取ったように、奥の上段は幅広く、下段は斜めに集まって流れる。

 

八重滝の主瀑、八塩滝

 

八塩滝と俺氏

 

 この感じ...竜頭が滝のほうが百名瀑には相応しいと思う。

 異論は認める。

 というか、百名瀑は単なるカテゴリーであり、日本には百名瀑よりもすごい滝がいくつもある。

 そんな滝を再発見するのが俺の仕事であるわけだ。

 

 今日の宿は大田市のゲストハウスだ。

 明日の大会をDNSするなら、せめてコースの三瓶山を走っておくのが矜持というもの。

 三瓶山を目指すにも、アップダウンの峠越え。

 最後の上りの前に、ぜんざい食べて血糖値を上げておく。

 

三瓶山への登り前、うぐいす茶屋でぜんざいを頂く

 

 三瓶山ヒルクライムで頭がジンジンと痛む。

 寝不足でトルクをかける登り方をすると頭が痛くなる。

 激坂ではない。

 淡々と登るが、インナーローのファイナルギア。

 坂の向こうに三瓶山が見えてきた。

 

三瓶山が見えてきた

 

 昨日までは「三瓶山は1時間半程度で登れちゃうから、ついでに登っておこうかな」なんてお気楽に考えてたけど、そんな余裕はない。

 今日はこの登りをこなしたら、宿に入ってシャワー浴びてメシ食って寝たい。

 

三瓶山が近い

 

国引きの俺

 

 三瓶山は一周道路だが、反時計回りに登れば、途中から日本海が見える。

 ちなみに時計回りにいくと三瓶温泉に行ける。 

 下る途中で埋没林が気になって寄ってみたけど、17時15分前に既に閉館していた。

 

 大田市の宿に着いたの17時半頃。

 明日は石見グランフォンドですかと聞かれたけれど、雨なんでやめようと思うと答えたら、他にも同じ状況の人がいるようです。

 シャワー浴びて、ひと眠り。

 19時過ぎにメシを食べに街に出る。

 裏日本と揶揄される日本海側は、申し訳ないけど言葉の通り、ひと気がない。

 町を歩く人はなく、道路の片側だけの街頭は暗い。

 人がいるだろう居酒屋だけから声が聞こえ、煌々と明るいドラッグストアは通り挟んで2件並ぶ。

 メシはいい感じの洋食屋のエビフライ・ハンバーグがおいしかった。

 

本日の宿

 

夕食に洋食屋、ウマす

 

駅前の巨大空き地と謎の地下空間

 

 宿に戻って、横になる。

 本日の起床は4時前だったし、眠いときはさっさと寝るとす。

見聞録二日目:5月12日(日)

 予報通りの雨です、風です。

 さすがに今日のイベントに出る人は少数派やろと思って、あとでFacebookで検索したら2/3がDNS、イベント中にリタイアも多かったらしい。

 雨中のロングライドは地獄だぜフゥ〜ハッハー!

 朝飯は冷凍焼きビーフン、食べて片付けして宿を出てから5分ほど雨の中を大田市駅までチャリンコに乗る。

 風TSUEEE!!!

 

チャリンコ担いで気動車に乗り込む

 

 大田市駅から出雲市駅(JR西は◯◯市駅が多いな)には9時前に着いた。

 輪行したチャリンコは駅近くに放置したいけれど、良いスペースがないから高架下駐輪場に置いていく(1日100円)。

 一畑電鉄に乗って目指すのは、神在月の最後に神々の直会会場、九万千神社へ。

 

一畑電鉄に乗り換え

 

 電鉄出雲駅から2駅目、大津町駅で降りる。

 歩いて20分ほど、途中で斐伊川を渡る。

 暴れ川がヤマタノオロチに例えられる出雲の大河だ。

 橋を渡る途中、右を見ても左を見ても山。

 

斐伊川を渡る

 

 九万千神社の境内には、小さいネズミの像がいくつもあって、人間くさくてかわいい。

 日本全国から集まった神様たちが直会やるには狭いんじゃないかな。

 

九万千神社

 

ネズミ像がいくつも

 

呑んでんのか!?

 

 大津町駅に戻って出雲大社へ。

 昼飯には大社焼きそばを食べに行く。

 昨日、ゲストハウスでまっぷる斜め読みして、大社焼きそばが紹介されていたのが気になっていた。

 大社への観光通りから逸れて、住宅街を通っていった店「きんぐ」は11時開店10分後に着いて人が多いので期待できる。

 焼きそばは後からかけるソースが美味しゅうございました。

 焼きめしを期待を裏切らない味。

 

再び一畑電鉄で出雲大社へ

 

出雲大社前駅

 

大社焼きそば、後追いソースがうまし

 

 食べ終わって雨の中を軽くハイキング。

 大社の北東、奉納山からは稲佐の浜から大社の町並みを見下ろせる。

 裏手には出雲の山が近い。

 

奉納山展望台から稲佐の浜を見下ろす

 

 山の途中には出雲阿国の塔がある。

 出雲大社に行く途中に出雲阿国の墓がある。

 

奉納山の阿国塔

 

出雲阿国の墓

 

 そして出雲大社に来たものの、ここには何度か来ているから、あまり印象に残らない。

 ここに来ると観光客が多い。

 出雲流、二礼四拍手一礼でお参り。

 

出雲大社

 

 大社の隣、出雲古代歴史博物館に寄ってみる。

 1/10サイズの古代出雲大社の復元模型でも、相当にデカい。

 20分の出雲の神話ムービー見てたら寝落ちしてあっという間に終わった。

 

古代出雲歴史博物館へ

 

 

1/10スケールの古代出雲大社

 

こんな家に住みたいね(そうか?)

 

 帰りはバスで出雲市に戻る。

 駅前の温泉施設で整う予定だったけれど、今から温泉津で温泉入るのに意味ないやと思い直した。

 駅のカフェでケーキとコーヒー頂いたのち、チャリンコ担いで山陰本線の一両編成ディーゼルカーに乗り込む。

 

 車内でマップル見ながら明日はどこを走ろうかと考えていると、千丈渓の白藤の滝が気になった。

 落差40m、幅8mはそれなりに大瀑だ。

 但し行くには温泉津から走るより、輪行して江津からスタートしたい。

 なので、輪行したチャリを温泉津駅に放置できないかストリートビューで駅付近を調べたら、屋根付き駐輪場があった勝った。

 

 17時前、温泉津に着いた。

 輪行したままのチャリを駐輪場に放置して今日の宿へ。

 行った場所は港のレストランで宿の名前が書いてないから「?」と思ったけれど、ここで合っている。

 宿は何件か隣の民家だが、リノベーション物件。

 今日の泊まりは俺だけで、部屋の外は真下が入江だ。

 

本日の宿、ベランダの先は入り江

 

 さっそく温泉街へは歩いて10分弱、石見銀山の世界遺産エリアの温泉地は大正のにおいがする。

 そして大正モダンな銭湯が薬師湯だ。

 湯船から溢れる温泉成分が堆積した床は1cmほど厚みが増している。

 少し熱めのお湯にじっくり浸かり、窓際に胡座かいてクールダウン、そしてまた湯に浸かる。

 整いましたわ!

 

 

大正モダンな観音湯

 

時が止まったような温泉街

 

 帰りに港が見えるレストランにて、穴子の醤油カツ丼をクラフトビールと一緒にいただく。

 ウマす。

 

海が見えるレストラン

 

 レストランを出れば外は真っ暗。

 暗い海が不気味に静か。

 宿に戻って、ベッドに横になって雑誌を読みながら値落ちする夜を過ごした。

見聞録三日目:5月13日(月)

 本日は有休ワイMAXにて。

 7時前に起きて、一階のキッチンの冷蔵庫に納められていたおにぎりを朝ごはんに頂く。

 夜まで降っていた雨はやみ、日差しが強い朝だ。

 8時前、宿を出て駅まで歩き、駐輪場に置いといたチャリンコを担ぎ、列車待ち。

 温泉津から江津までは10分ちょい、チャリンコ的にはだいぶワープできる。

 

朝起きれば海辺

 

温泉津で交換

 

 てなわけで、8時半前に江津に着いた。

 2018年に三江線廃止の直前に三次から乗って以来だけど、駅に見覚えが無い。

 チャリンコ組み立て、トイレに寄ったらペーパーが無いのは悲しいなぁ。。。

 

江の川を渡る

 

江津駅スタート

 

 9時前に走り始める。

 国道と反対側の、かつて三江線が走っていた左岸を走る。

 線路跡が残ったままだが、廃線から6年が経ち森に還っている。

 廃線跡をサイクリングロードにするとか計画が廃線時に上がるが、そのあとの保守が大変なんだなぁ。

 

かつての三江線の橋脚

 

森に還る線路

 

トンネル跡

 

廃線と並走

 

 道が途切れて左岸から右岸の国道に移動し、桜江町から山に入る。

 千丈溪の看板に従って走っていくと、駐車場に出た。

 目指すは千丈溪の主瀑、白藤滝、なのだが駐車場から歩いていくとめっちゃ遠い。

 なわけで、渓谷に並走する林道を行きます。

 小さい落石とコケ蒸す舗装路だが、途中でダートに変わった。

 DNSを決めこんでブロック履いてきてよかった!

 

千丈溪へ

 

ダートになった

 

手押しが始まる

 

 しかし行けども行けども渓谷に下りる道は現れず、道はどんどん荒れていく。

 途中から手押しをしていて、ふと気が付いた。

 どうせ手押しで戻ってくるんだから、チャリ置いていってもいいや。

 で、チャリ置いて歩き始めたらすぐに、白藤滝に下りる階段が現れた。

 

 渓谷に下りると、滝にかかる橋がある。

 その滝は紅葉滝、その渓谷の奥に川の水量を一気に落とす直瀑が見える。

 白藤滝だ。

 端の奥に踏み跡があり、辿っていくとすごく滑る岩を行く。

 これ、滑ったら川に落ちて、滝から落ちること間違いない。

 危ない。

 素人にはおススメできない。

 

紅葉滝の奥、白藤滝

 

 岩にしがみついて進む先に白藤滝が見えた。

 水量に削られて後退したであろう滝は、岩に隠れて全体が見られないのも滝の個性だ。

 この水量、落差、良き。。。

 狭い渓谷に響く轟の音。

 わざわざ寄った甲斐があった。

 

谷に水を一気に落とす白藤滝

 

白藤滝と俺

 

 林道に戻り、ダートを下り、県道に戻る。

 ここから浜田へは峠越え。

 緩い峠をいくつも越え、浜田には昼過ぎに着いた。

 これといった見所はないが、浜田城に寄る。

 本丸跡からは海を見下ろす。

 港のフードコートで定食を頂く、うます。

 

楽しいダート

 

山奥のラウンドアバウト

 

浜田城跡

 

本丸から浜田市街

 

おさかな定食うます

 

 浜田から益田まで、ひたすら海沿いの国道9号を走る。

 50kmほど、だいぶ長いが見所はそんなにない。

 三隅の道の駅では、展望台からスーパーおきが走る海岸線を見下ろすのに休憩したくらい。

 

三隅の道の駅でしまねっこと俺

 

ちょうどスーパーおきが走っていった

 

 空港はたいてい丘の上にある。

 萩石見空港を使うのは初めてだが、ここも街から丘の上だった。

 空港には16時半過ぎに着いた。

 18時過ぎのフライトには時間があるので、とりあえずビール。

萩石見空港ゴール吉田くぅん!

 

とりあえずビールだ

 

 萩石見から羽田までは1時間半、20時前に羽田空港に着いた。

 平日で電車に混みたくないから、羽田で夕飯を済ませてから、モノレールで浜松町から山手線をぐるっと回って帰ったら、そんなに混んでなかった。

 

さらば萩石見(益田市)

 

大山を見下ろす(シートゥーサミットナイトハイクが懐かしい)

 

羽田でメシ食って帰ります

結局

 それなりに長い距離走って満足した。

 ふと、三段峡と匹見峡が気になった。

 広島から走って萩石見空港から帰るのも悪くないな。

 

 あまり走る機会が無かった山陰山陽だけど、実は見所あるかもしれない。

 また近々行ってみたい。

以上。