【読書】西尾維新「ウェルテルタウンでやすらかに」 | いつもだいたいむかいかぜ

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 走ればだいたい向かい風、止まっていても、逆に行ってもだいたい向かい風。

 そんなオヤジ顔のツーリングだったり、ローカル線だったり、散歩だったり、車に乗ったり、ゲレンデ滑ったり、本を読んだり、映画見に行ったり、

 そんなオヤジの徒然日常備忘録。

 

 

 この子の自殺を止める理屈を考えてしまった。
 一番絶頂期に死ぬのがコスパもタイパも良いでしょうという考えに対して。
 
 かつて栄えた田舎の産業都市は、今は見る影も人の影もいない。
 そんな廃墟の町おこしのコンセプトは「この町を自殺の名所にすること」だった。
 そんな町おこしの一環で、この町を舞台にした小説の執筆依頼が舞い込んだ売れない推理小説家だったが、この町こそがかつて逃げだした出身地だった。

 20年以上ぶりに訪れたその町は、かつての活気はまるでなくなっていた。
 街で唯一の民宿で出会った、頼まれて自殺にきた大人気の歌い手の女の子、
 町に残っていた中学生当時の元カノの現活動家。
 そして、自殺の名所のプロジェクトを推進する怪しいコンサルタント。

 人がいない町で進む、不謹慎すぎる町おこしの行く末は。