それで、四人とも座った後は会話だ。
会話の合間を狙って、ヘルプは飲み物をもらわなければならない。
ヘルプは口座の繋ぎという役目が第一だが、それとは別に単価を上げる、という役目もあるのである。
飲み物をもらえないようなヘルプは駄目なのだ。といっても、ヘルプが飲み物をもらう、客がヘルプに飲み物をあげるというのは当然の事なので、たいていはもらえるのだが。中には意地悪をしてくれない人もいる。


ちなみに――お金がないから、という理由でヘルプに飲み物をあげないような客は、ホストクラブなんて行くな、と言いたい。
それならば、金を貯めて余裕のある時に店に行け。でないと単なる痛客である。
ホストからも、表では愛想よく振舞われるが、裏では嫌われてしまう事を考慮しておいてほしい。


ホストは金がかかるのだ。


飲み物をもらった後は、ひたすら会話。
合間に、グラスを拭いたり、テーブルを拭いたり、灰皿の交換などを行う。
基本的には口座の仕事だが、ヘルプがいる時はヘルプに移行する。ヘルプになった時点で、その間はどんなに先輩だとしても口座よりも下になってしまうのだ。下になった口座に仕事をさせるのは失礼なのである。

会話は主に下ネタであろう。
たいていの客は夜の仕事をしているので、あまりテレビでやっているような話題は弾まない。ホスト自体もあまり見れないし、その客も見れないからだ。これが一般客なら、ホストが合わせれば何とかなるのだが。基本的にはホストもテレビをあまり見れないので、テレビの話題はない。

カラオケのある店ならば、歌の話などもあるだろう。

後は、自分の過去の自慢話。ホストが自分の今までの経験を喋るのである。
「あぁ、この人ってこういう経験してきたんだ。この話って、私しか知らないんだろうな。私にだけ、話してくれているんだ」
と思わせれば効果ありだが、白けてしまう場合もあるのでやめておこう。
ちなみに、この過去話は、ヘルプは基本的にはやってはいけない。
決まりはないが、白けてしまうからだ。
口座の事をもっと知りたいし会いたいから来ている客が、ヘルプの過去を知って嬉しいか?
たいていはつまらないだろう。


自分の趣味の話は効果的だ。
趣味が合えば、それだけでだいぶ時間を稼げるし、ヘルプとしても「話さなければならない」という重圧がなくなっていく。
もしも趣味が全く合わなかったら、すぐに話題を切り替えるべきだが。

お客さんとの会話は、単なる取り留めのない会話で終わらせてはいけない。
相手は金を払って時間を買っているのだ。
「あー、面白かった」
と思わせなければならない。逆にいうと、面白いと思わせられればなんでもやって良いのだが。

会話で最も受けるし、幅広いのは、やっぱり下ネタ。
後は身内ネタもたいていは受ける。常連となった客に対しての効果は絶大である。
後は、一発芸ぐらいだろうか。

下ネタ、身内ネタ、一発芸はたいてい受ける。
だが、これだけで終わらせてしまっては、そこらへんにいるホストと変わらない。
やはり売れるには、何か他のホストとは違う部分がなければならない。



――話が逸れてしまったが。
ヘルプのマナーや、ホストの話題とは、こういうことである。